薬屋のひとりごと | 第14巻71話『黒食う悪意(後編)』ネタバレ | ビッグガンガン

KUSURIYA
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ
薬屋のひとりごと 71話 ネタバレ ねこクラゲ イラスト The Apothecary Diaries chapter 71
薬屋のひとりごと 第71話ネタバレ

第七十一話 黒食う悪意(後編)

薬屋のひとりごと 71話 ネタバレ ねこクラゲ The Apothecary Diaries chapter 71
配信日2024年3月25日
ビッグガンガン2024年Vol.04
次号2024年4月25日
単行本第14巻
登場人物猫猫(マオマオ)
深緑(シェンリュ)
翠苓(スイレイ)
梨花妃(リファヒ)
(シン)
子翠(シスイ)
STORY
『診療所に着いて…』
「あら、あなた前にも見た顔ね。体調が悪いの?」
猫猫「えっと、ここで消毒に酒を使っているようなので、蒸留して濃くしたもののほうがきくかと思って持ってきたのですが」
「うーん、ちょっと相談してみるわ」
猫猫「(口実に持ってきたアルコールがあってよかった)」
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猫猫「(以前会った気の強そうな女官だ。名は深緑(シェンリュ)だったかな)」
深緑「これいただけるならありがたいけど貰っていいのかしら?」
猫猫「はい、たくさん作ったのでまた持ってきます」
深緑「助かるわ」
薬屋のひとりごと 71話 深緑 シェンリュ ネタバレ ねこクラゲ The Apothecary Diaries chapter 71
猫猫「(演技は苦手なんだけど、できるだけ平静に自然に切り出さないとな) ところでここの女官の方々は優秀なのですね」
深緑「何?唐突ね」
猫猫「(やはりおかしかったか) いえ、ただ皆さま二年の年季より長い間いらっしゃるようなのでそう思いました」
深緑「ええ、年増ばかりだもの。でもね、私たちだって後宮へきた時は若かったわよ。皆まだ十やそれくらいだったわ。それからずっとここを出られない。誰も迎えに来てくれないから」
『今の後宮は数え十四にならないと女官として入れない。皆入ってきて二十年以上経っていると考えると…診療所にいる女官の大体が先帝時代の女官ということだ。帝の御手付きとなれば後宮から出られない。家臣に下賜したり他国に嫁がせる場合もあるが、それは一部の位ある女官のみ。時代によっては帝と共に殉死させられる者たちだ。命があっただけましなんて言える立場ではない。今の皇太后が診療所を作ったのは奴隷や新たな宦官の廃止を帝に進言するような優しさの先駆けだと思っていたが違ったようだ。…ああそうか…後宮に巣食う悪意はここにあったのだ。年端もいかぬ時分に後宮へ押し込められ先帝の毒牙にかかり、二度と外を見ることが叶わない…そんな中で荒まず真っ直ぐに生きることができるほど器用な人間ばかりじゃない。後宮の存在が憎い皇帝の寵を得て幸せになる者が憎い…もし深緑もそうだったなら、水晶宮の一件も違う見え方をする』
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『水晶宮で倒れた下女と顔見知りだった深緑は下女との会話から梨花妃と杏の不仲や妃の懐妊を察し、妊娠に悪いものを書き記して下女に渡した。“妃さまのために気をつけるよう侍女頭の机に置いておきな”なんて言って…一見厚意に見える行いだが、梨花妃と杏の不仲を知っていたなら、それは杏の背中を押したことになる。妃に悪意を持つ者にわざと“毒”を教えたのだから。ちょうどその頃やってきた隊商(キャラバン)で材料が手に入れば杏は実行に移すだろう』
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『材料が隊商にあったのも長年後宮内にいる彼女が年に数回くる商人にこんな香が欲しいと吹き込んだのかもしれない。きっかけは殺意とまでいかない悪意。しかしそれはすこしずつ後宮内を蝕んだ。毒おしろいもその一つだ。後宮に二十年以上いておやじの作った張り紙を知らないはずがない。現にこの部屋には書架があり、文字が読めない者がいるとわかる。問い詰めることもできるが、そうすれば彼女たちはどうなる?証言も証拠もない曖昧なことで診療所がなくなるのは避けたい。しかし彼女たちの悪意もたまる一方だ。それは仕方ない。できることといえば彼女たちの悪意に周りが影響を受けないようにすることくらいだ。もっといい方法が思いつくほど頭は良くない』
猫猫「それでは」
深緑「本が気になるなら借りてっていいわよ。ちゃんと返してね」
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猫猫「(そう言われてしまうと何か物色せねば失礼な気がする。本が置けるのはそれなりにいい禄を貰っているのだろう)」
深緑「返してくれるだけでいいんだけど、たまに本が増えているから不思議なのよね」
猫猫「邪魔になった本でしょうか。羽振りがいいことですね (裕福な家の女官が置いていくのだろう。貞淑な妻の在り方など面白くない本ばかりだ。ん?これは…図鑑?しかも虫だよ。完全に子翠向けだな)」
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猫猫「(この虫、特使の宴で使った蝶だ。子翠が図鑑で見たことがあると言っていたが、これのことだろうか)」
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深緑「その本も一月ほど前にいつのまにか置いてあったのよね」
猫猫「(ひと月前なら特使を呼んだ宴は終わっている。それまで無かったのなら子翠が持っていたものと考えるのが妥当だ。しかし分厚い本はそれだけで値が張る。一介の女官に持てるものではない。そういえば虫の絵を描きとめた帳面も菓子の包み紙の裏だった。それを後宮内で大量に集めたとは考えにくい。とすると、子翠は裕福な商の娘?字も読めるのに洗濯係なんて性格の問題だろうか。でも)」
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翠苓「気を付けたほうがいい」
猫猫「(翠苓(スイレイ)!?どういうことだ)」
薬屋のひとりごと 71話 翠苓 スイレイ ネタバレ ねこクラゲ The Apothecary Diaries chapter 71
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