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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第44話ネタバレ | |
第44話 冬人夏草(前編2) | |
単行本 | 第9巻 |
ビッグガンガン | 2021年 Vol.07 |
配信日 | 2021年6月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 玉葉妃(ギョクヨウヒ) 紅娘(ホンニャン) 桜花(インファ) 虞淵(グエン) 静妃(ジンヒ) |
STORY | |
猫猫「後宮の年季を終えたあとにもつながりますし良いと思います (発想は悪くない。ただやはり育ちがよく詰めが甘い。本人もわかっているからこうして聞いてきたのだろう)」
猫猫「建設予定地の南側の広場は搬入など利便性がいい一方で、正門が近く上級妃や中級妃が集まる一等地です。一概には言えませんが、気位の高い方が多いですから、文字の読み書きができない下女が集まって教育を受けることを快く思わない方もいるでしょう (表向きいい顔をする妃たちの中にも侍女や下女を使って裏で嫌がらせをする者がいるかもしれない)」 壬氏「…北側にしたほうがいいようだな」 猫猫「ええ。それに特別な場所は作られなくてもいいと思います。たくさんある建物のどれかを改装すれば十分でしょう。あと表向きは学校という形ではなく、職業訓練としてやってみてはいかがかと…飯の種になるとわかればより人員が集まると思います。それとたまに点心(おやつ)を与えてみるとか」 壬氏「たまにか?」 猫猫「ええ、いつも食べられる保証がなければ毎日来るようになります。あくまで私の主観ですが、このくらいでしょう (他にも言えることはあるが下手に鵜呑みにされても困るのでとどめておこう)」 壬氏「わかった」 猫猫「(しかしこんな話をするためにわざわざ場所を変えたのだろうか)」 壬氏「もう一つ用がある。おまえは茸に詳しいか?」 猫猫「(茸は毒があるのも多いが、貴重な薬にもなる) 食用にも調薬にも使うことがありますので年に数回山に入っていますが、それがどうしましたか?」 壬氏「毎年暖かくなると注意を無視し食中毒を起こす女官がいる」
猫猫「食い意地が張った者はどこにでもいますから」 壬氏「ああ、昨年、医局で医官と一緒に食べていた奴もいた」 猫猫「(あっ)」 壬氏「それに果樹園の果実もよくなくなるそうだ」 猫猫「(心当たりが…あれは毒茸ではないし、果樹園のは間引きしただけだ)」 壬氏「そういうわけで、女官たちが間違えて食べてしまいそうなものをあらかじめ調べてできれば処分しておいてほしい。その際、どんな毒があるかも教えてくれ。翡翠宮での仕事は毒味等を除いて休んでもらうことになる」 猫猫「わかりました (やはり玉葉妃がいても問題ない話だ。というかむしろ調査で時間を取られるなら、目の前で説明したほうが早い気がする。何かあるのかもしれない。面白い申し出を遮って聞くほど野暮でもない)」 壬氏「地図だ」
猫猫「(さて、どこから行くかな…後宮内にもちゃんと花や樹木を愛でる場所はあり、果樹園や松林もある。生暖かく湿気も多い季節になり、これからどんどん茸は生えてくるだろう。昔の困ったところは、食用か毒かの判別が難しいところだ。花街でも客人から貰った茸で食中毒を起こした件が何度かあった。よく間違えられるのが平茸と月夜茸だ。平茸は比較的にどこにでも生えるが、月夜茸はどちらかといえば山のほうが多い。たぶん月夜茸は後宮内にはないよな。女官がこっそり茸を採るなら、庭師が頻繫に入る場所や位が高い妃たちの宮や棟が集まる南側には来ないだろう。対して北には荒れた建物が多いから少しずつ北上して行くか)」 猫猫「(ん?なんだこの匂い…体臭とも違う変な…ああ子翠の言っていた変な匂いがする場所はここか…もしかすると漏れた汚水が栄養になっているから茸がよく育っているのかもしれない)」
猫猫「(収穫した茸はひとまず医局に預けてきた。薬として使える茸もあったし、大変充実した一日だった) ただいま戻りました」 桜花「おっおかえり…ああ!ばっちいまま入らないでね!」 猫猫「(ばっちい)」 桜花「…ってあなたなんか臭くない?」 猫猫「(…匂いが移ったかな)」 桜花「すぐ夕餉だから早く着替えて」 猫猫「はい」 紅娘「命令もあったのに急かしてしまったかしら」 猫猫「いえ、大丈夫です」 紅娘「これ着けてちょうだい」 猫猫「(黒い紐?誰か身罷れたか)」 紅娘「今日は夕餉のあとに出かけるわ。申し訳ないけどあなたも一緒に来てちょうだい」 猫猫「わかりました (葬儀かな)」
猫猫「(あそこで侍女から献花用の花を受け取るのか…おや?かぶれにしては赤く腫れていた。あの傷跡はまるで…)」 『亡くなったのは中級妃の中でも上位にいた高官の娘、静妃(ジンひ)。一年ほど前から体調を崩して部屋に籠っていたところ、今回食あたりを起こしたという』 紅娘「主上のお通りもなかったし実家に帰ろうと思ったら帰れたでしょうに」 猫猫「珍しいですね。紅娘さまがそこまで言うなんて」 紅娘「あなたが来る前、玉葉さまが毒を盛られたことがあったんだけど、その犯人かもしれないのがね…」 猫猫「(なるほど…妃に害をなした可能性がある者を快く思うわけがない。むしろ今の状況ならほっとしているくらいだろう)」 『静妃に以前、命を狙われた玉葉妃。現在、玉葉妃は妊娠中であり、普段よりほかの妃や女官たちを警戒している。玉葉妃が静妃を警戒して毒を盛った可能性もないとも言い切れない。そして静妃の食あたりが茸だとすれば?壬氏が玉葉妃に隠すように毒茸を探せと言ったのも頷ける。自分の妃が疑われていると侍女たちがしれば、いくら麗しの宦官であろうと、今後の対応は変わるだろう。玉葉妃に肩入れしすぎていると思っていたが、どうやら平等に対応しているようだ。しかし玉葉妃ではなかろう。再起不能にする方法の中でも毒殺は手間だし、バレる可能性もある。そして翡翠宮の侍女たちはその手の暗躍には向かない』 『もし向いているとすれば私だが、もちろんやっちゃいない。毒茸の件でこちらの反応を見ていたのだとしたら、失望どころか感心さえしてしまう。妃がどんな中毒症状を起こしたのか…きっと教えてはもらえないだろうな』
「おやめください!」 紅娘「ひっ顔がっ…」 「自業自得だなあ…私よりもずっとずっと醜いなぁ」 猫猫「(あの傷痕!)」
『騒動を起こした女は下級妃だった。裕福な商家の娘で気立てがよく皇帝のお通りもあったという。しかし一昨年の今頃、顔が赤くただれ髪が抜け落ち、病にかかった。実家に戻っても嫁に行くこともできないだろう。下級妃に禄を与え続けたのは皇帝なりの気遣いだろう。では何故その下級妃が静妃の葬儀であのような真似をしたのか。病の原因が静妃だと考えるのが自然だろう』 |
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