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Magic Kaito | |
原作(Original Story): 青山剛昌(Gosho Aoyama) まじっく快斗 『グリーン・ドラゴンの巻』ネタバレ | |
グリーン・ドラゴンの巻【前編】 | |
劇場版『100万ドルの五稜星(みちしるべ)』公開記念連載 | |
サンデー | 2024年20号 |
配信日 | 2024年4月10日 |
次号 | 2024年4月17日 (21号) |
登場人物 | 黒羽快斗 / 怪盗キッド 中森青子 中森銀三 中森碧子 白馬探 茶木神太郎 綱倉十郎 式部鹿紫子 寺井黄之助 桃井恵子 |
場所 | レストラン 綱倉博物館 中森家 東京国際空港 |
STORY | |
中森碧子「ごめんね青子、遅くなって…公判期日が迫ってるのにブツ読みが全然終わってなくて…実は2時間後にまた東京地検に戻んなきゃいけないのよ…」 中森青子「じゃあ、その貴重な2時間青子と一緒に満喫しよ。なんたって今日はお母さんの40歳の誕生日なんだから」 中森碧子「ありがと。でも緊張するわね。こんな高そうなお店…近所のファミレスでよかったのに…」 『中森碧子(40) 中森銀三警部の妻』 中森碧子「その銀ちゃ…お父さんはどこ?トイレ?」 中森青子「それがついさっきあんにゃろめから予告状が届いて急に来られなくなっちゃったのよ」 中森碧子「あんにゃろめって?」 中森青子「アイツよアイツ、怪盗キッドよ」 中森碧子「カイトウキッドってだーれ?」 中森青子「知らないの?お父さんから聞いた事ない?」 中森碧子「ええ、結婚したての頃、あのひとと仕事の話でケンカになって、それ以来お互い家で仕事の話はしないようにしてたから」 中森青子「怪盗キッドって検索したらすぐ出て来ると思うけど」 中森碧子「ああこの人…ニュースでチラっと見た事あるけど、サーカスの人じゃなかったの?」 中森青子「お母さん忙し過ぎてテレビとかあんま観ないもんね」 中森碧子「どういう事かしらコレ…?“王妃の前髪(クイーンズ・バング)”の事件だけでも器物損壊罪に威力業務妨害罪に建造物侵入及び損壊罪に監禁罪に公務執行妨害に強盗傷害罪…何でこんな犯罪者がまだ検挙されてないの?」 中森碧子「なるほど…そう…この人が銀ちゃんの手を煩わせて…人生で一度しかない私の40歳の誕生会に来られなくしたのね。あ、スミマセン、このテーブルを使いたいので料理はワゴンに載せたままどんどん持って来てくれます?自分で取って食べるので」 ウェイター「テーブルで何を?」 中森碧子「ちょっと娘と怪盗某さんを捕まえる為の作戦会議を」
『綱倉博物館』 茶木神太郎「オオー!これが3日後に怪盗キッドが盗むと予告した南奥羽の覇者と讃えられ戦国大名として乱世を生き抜いた“独眼竜”伊達政宗公のブロンズ像か。しかし珍しいな。最近キッドは大きな宝石しか狙わないんじゃなかったか?」 『茶木神太郎(49) 警視庁捜査二課警視』 中森銀三「よーく見てください茶木警視。ブロンズ像の眼帯部分にはめられたあの宝石、あれが奴が狙う世界最大級のフォスフォフォ…いやフォスフィフィだったか?」 『中森銀三(42) 警視庁捜査二課警部』 綱倉十郎「フォスフォフィライト…和名は“燐葉石”…そしてその緑に輝く宝石に付いた名が“緑竜の鱗(グリーン・ドラゴンズ スケイル)”まさに独眼竜の眼帯に相応しい」 『綱倉十郎(50) 綱倉博物館オーナー』
中森銀三「だが、あんな剥き出しで何も覆ってないなら簡単にキッドに盗られてしまうんじゃ…」 綱倉十郎「問題ありません。あの宝石はブロンズ像の眼帯部分に空けた穴に内側からはめた後、象の内側の空洞にブロンズを流し込んだのでそう簡単には盗られやしませんよ」 茶木神太郎「じゃあ、この像自体にはそんなに価値がないのか…」 綱倉十郎「ええ、宝石購入後に政宗公好きの私が造らせた像ですから」 茶木神太郎「しかし像に価値がないなら頭を爆薬でふっ飛ばして盗るって手も」 綱倉十郎「そんな事をしたら宝石が割れますよ。とても硬度が低いので」 中森銀三「んじゃ像ごと盗む気なんじゃないか?以前奴は何かの像をバルーンで吊り上げて盗もうとした事もあるし」 白馬探「いや、それは不可能です。なぜなら、僕の助言で像の空洞にブロンズを流し込む際に頭から足にかけて鋼鉄製の支柱が埋め込んであり、その支柱の先は床を貫いて地中深くにガッチリ固定してありますから。それこそオスプレイを数機使ってこの博物館ごと持ち上げないと像を持ち去る事は出来ませんよ」 『白馬探(17) 高校生探偵』
中森銀三「(出たな、コスプレ探偵ボウズ)」 白馬探「まあ時間をかけて頭部をバーナーで焼き切るんなら話は別ですが」 茶木神太郎「なるほど、さすが白馬、警視総監の息子さんだ」 中森銀三「(現場で優雅にティータイムかよ)」 白馬探「紅茶ありがとう。お陰で落ち着いたよ。彼との対決前は気が高ぶり過ぎるから」 式部鹿紫子「それは何よりでございます」 白馬探「じゃあ、ばあやはそろそろ行って構わないよ」 式部鹿紫子「あ、でも坊ちゃま…」 白馬探「久し振りの休暇楽しんでおいで」 式部鹿紫子「では、お言葉に甘えて」 『式部鹿紫子(58) 白馬家執事』
『そして3日後 検察庁』 中森碧子「部長!押収物から見つけたタクシーの領収書から運転手に確認を取った所、堂本議員と村田会長が問題の日に料亭“舟本”に行った事が判明、さらに堂本議員の手帳に書かれていた謎の数字8千と村田会長が数日後に裏名義の会社で買った外国為替の購入額が8千万で一致。コレの裏付けが取れたら金の流れが明確になり、部長の筋読み通り堂本議員と村田会長を政治資金規正法違反で起訴する事が可能かと。それで私、3日間ほぼ寝てないんで早退しても構いませんか?」 部長「あ…ああ(さすが中森君…未来の検事長候補♪)」 「部長、ちょっとこっちに…」 部長「えぇっ!?これ全部中森君一人で3日でブツ読みしたのかね!?(未来の検事総長だったりして…)」
黒羽快斗「はぁ?今夜、青子と青子の母さんが協力して怪盗キッドを捕まえる事になっただとォ!?警部に内緒でかよ?」 中森青子「うん、なんかそうなっちゃって」 桃井恵子「つか私もビックリなんだけど…青子のお母さん一度も見た事ないから死んでると思ってた」 中森青子「驚くトコそこー?まぁお母さん大体いつも青子が寝た後に帰って来て青子が起きる前に朝食とお弁当作って仕事に行っちゃうし、休みの日は“寝だめするー”ってほぼ一日中寝てるから青子もあんま動いてるトコ見た事ないんだよね」 桃井恵子「快斗君は知ってた?青子のお母さん」 黒羽快斗「ああ、最近オレの分のお弁当も作ってもらってるし」 桃井恵子「でもまあ気楽なやれば!放っといても白馬君がホームズ張りの推理力で何とかしてくれるし」 中森青子「そだね」 黒羽快斗「あ、そうだ、トイレ借りに青子ん家に寄っていいか?」 中森青子「えーっまたー?」
『中森家』 黒羽快斗「お邪魔しま…」 中森青子「しーっ、お母さん帰って来てる。静かに静かに…」 黒羽快斗「ヘイヘイ (まさか青子の母さん…碧子さんとの勝負になるとはな…)」 中森青子「あ、お母さんおはよ。警察の知り合いに無理言って借りた博物館の中の防犯カメラの映像チェックできたの?」 中森碧子「ええ、5倍速で…警備体制と警備にあたる人達は把握できたわ」 中森青子「じゃあ計画通り…お父さんにお弁当持ってくから」 中森碧子「あ、そうそう、昨日快斗君が忘れてったハンカチ洗ってさっき机の上に置いといたけど渡してくれた?」 中森青子「渡したけど…何で快斗がさっき来た事知ってるの?」 中森碧子「だってトイレットペーパーの右端に破り残しが少しあったから…ウチに来る人で左から右にペーパーを破る人って快斗君しかいないもの。じゃあいってらっしゃーい」 桃井恵子《放っといても白馬君がホームズ張りの推理力で何とかしてくれるし》 中森青子「(お父さんはホームズみたいにパイプくわえて、白馬君もたまに鹿撃ち帽と外套着てるけど…青子的には一番ホームズぽいのってお母さんなんだけどな)」
『綱倉博物館』 中森青子「お父さーん、お弁当持ってきたよ」 中森銀三「青子、それならそうと先に言ってくれ。さっき食べてしまったよ」 中森青子「えーっ?メールしたのに…」 中森銀三「スマンスマン…さっきからスマホがみあたらなくて…」 中森青子「ん?魚住手芸店?」 中森銀三「ボタンを買ったんだ。取れてたから」 中森青子「そういえば今朝風邪気味だって言ってマスクしてたけどもう治ったの?」 中森銀三「ああ」 🔊中森碧子「青子、お父さんはもういいら次、茶木警視を…」 🔊中森青子「あ、うん」 🔊中森碧子「次も私の言う通りにね」
中森青子「茶木警視お久しぶりです。あれ?コーヒーなんですか?紅茶お好きだったのに」 茶木神太郎「そうなんだが、昨日ニューヨークで用を済ませて帰国したてでね、少々時差ボケだから眠気覚ましにコーヒーを」 中森青子「初めまして綱倉オーナー。今日は頑張ってください」 綱倉十郎「頑張るのは警察であって私ではないよ」 中森青子「もしかして左利きですか?腕時計は右利き用なのに…」 綱倉十郎「書き物をしながら紅茶を飲むから左手でカップを持つクセがついてしまってね」 白馬探「青子さん、今日の君は何やら探偵のようだ。もしかして君が首元に付けているその怪しげなブローチで誰かがこちらを覗いているのでは?」 白馬探「なーんてね」 中森碧子「あら、やるじゃない」 『東京国際空港』 寺井黄之助「快斗坊ちゃま、こちらは万事うまくいきました」 黒羽快斗「ありがとう寺井ちゃん。こっちも驚くほど順調だぜ。予定通り例の人物に成り済ませてるし…ケケケ」 寺井黄之助「油断は禁物ですぞ。中森碧子検事はおっとりされてますが、かなりの切れ者で」 黒羽快斗「油断なんて1ミリもしてねえよ。ガキの頃、青子を驚かせたとびっきりのマジック、碧子さんにことごとく見破られてたからな。今夜手合わせするのが楽しみだぜ」
『綱倉博物館』 中森銀三「間もなくキッドが予告した深夜0時だ。各員集中」 白馬探「たとえ停電させられても動揺しないように…天窓からの月明りで像が見えなくなることはありませんから」 綱倉十郎「我が博物館の設計の勝負だ」 中森青子「怪盗キッド!」 怪盗キッド「(いざ尋常に勝負だぜ)」 中森青子「来たよお母さん!」 中森碧子「ええ、お手並み拝見といこうかしら…怪盗某さん?」 | |
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