- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ
BUNGO STRAY DOGS | |
原作(Original Story): 朝霧カフカ(Kafka Asagiri) 文豪ストレイドッグス 第91話ネタバレ | |
第91話 我等再ビ探偵ノ舎ニテ | |
配信日 | 2021年4月2日 |
ヤングエース | 2021年5月号 |
アニメ | 第55話 空の港ニテ(其の一) |
単行本 | 第21巻 |
登場人物 | 中島敦 福沢諭吉 国木田独歩 江戸川乱歩 泉鏡花 与謝野晶子 宮沢賢治 谷崎潤一郎 福地桜痴(神威) ブラム・ストーカー |
STORY | |
中島敦「此処は探偵社の事務所!?如何して…」 国木田独歩「驚く気持ちは判る」中島敦「国木田さん!国木田さんこれは一体何です?探偵社屋は軍警が封鎖してる筈です。入れる訳が…」 国木田独歩「窓の外を見てみろ」 江戸川乱歩「本物じゃないからな。この探偵社は偽物。会議をする為にポオ君に創らせた小説空間だ」 中島敦「会議って…?」 江戸川乱歩「決まってるだろ。敵との決戦、それに勝ち探偵社を救う為の最終作戦会議だ」 福沢諭吉「座れ」 中島敦「社長…!(皆が遂に揃った。探偵社の力が結集される時が来たんだ。お腹の底から力が湧いてくる。どんな敵でも負ける気がしない)」
国木田独歩「敦、重要な会議だぞ。涙ぐんでいる場合か」 中島敦「!国木田さんは冷静ですね (流石)」 国木田独歩「二時間程泣いた後だからな」 中島敦「(いや皆じゃない。大事な人達が此処には居ない)」 泉鏡花「こちらを向かず聞いて。気配の数が多い。侵入者が居る」
中島敦「谷崎さん!?賢治君!?無事だったんですね」 谷崎潤一郎「いや…うんまあ…久々の再会だから驚かそうと思って隠れてたンだけど…」 国木田独歩「だから云ったのだ阿保。余興で死ぬ気か」 宮沢賢治「マフィアが用意してくれた隠れ家の廃村に連絡係が来たんです。その人が“状況が変わった。探偵社と合流するように”って」 中島敦「連絡係?」 谷崎潤一郎「一番意外な人だよ」 中島敦「マフィアの首領が自ら…!?」 江戸川乱歩「敵の裏をかく為に相当な無茶をした様だな。恐らくマフィアの内部は悲惨なことになっている。何しろ吸血種の初期発生源だからな。探偵社の作戦はマフィアの為にも必要と考えたんだろう」 中島敦「そんな重要な作戦なんですね」 江戸川乱歩「ああ、誇張じゃなく世界の命運が掛かっている」 福沢諭吉「ではこれより探偵社全体会議を始める。先ずは現況の確認からだ、乱歩」 江戸川乱歩「はい。知っての通り現況は滅茶苦茶。敵はやりたい放題。敵である《天人五衰》…支配人シグマ、魔人ドストエフスキー、不死公主ブラム・ストーカー、道化師ゴーゴリ、そして神威・福地桜痴、彼等の計画は遂に最終段階に入った」
江戸川乱歩「彼等は感染性の吸血種を世界にばら撒き、既に十六の国軍を陥落させた。吸血種となった軍隊は不気味に沈黙しているが、残った国の政府は大わらわ。まあ当然だな。自分達の軍にどれくらい吸血種が潜んでいるか想像もつかないんだから」 谷崎潤一郎「その吸血種ってのは何なンです?」 江戸川乱歩「不死公主ブラムの異能だ。ブラムは噛んだ人間を己の配下、吸血種に変えて操る事が出来る。噛まれた人間は更に他人へと感染を広げる。つまり」 中島敦「世界中に敵が…」 谷崎潤一郎「鼠算式に広がっていく…!」 福沢諭吉「ブラムは嘗て存在した“世界を滅ぼす十の厄災”の一柱。何年も前、英雄・福地桜痴に討たれ聖剣にて封印された。だが現状を鑑みるにあれも計画の下準備であったのだろう」 中島敦「(社長は黒幕・福地と幼馴染…一体どんな心境でこの会議…)」 江戸川乱歩「まあそんな訳で、各国首脳陣は胃痛で夜も眠れない筈だ。何しろ吸血種は容易に組織の中に紛れ込む。各国の軍では誰が吸血種か判らず、疑心暗鬼の同士討ちまで始まっているらしい。一方の吸血種はブラムの支配の下、一つの生物の如く作戦行動が可能。全く酷い不平等だ。僕なら全部諦めて帰って駄菓子食べて寝るね」 谷崎潤一郎「…そうやって世界を混乱させて支配するのが敵の目的なんでしょうか?」 江戸川乱歩「いいや、流石にそれは無理だ。何しろ、この先には異能戦争の総本山、欧州列強が控えている。特に英国・独国、仏国が物量戦に出れば半年程度で平和が戻るだろう。無論それまでに幾十もの国が滅ぶがな」 江戸川乱歩「別にある。吸血種は単なる下拵えの調味料だ。連中の真の狙いは…大指令(ワンオーダー)。封印された三大厄災の一つ。大戦が生んだ忌まわしき精神支配の異能兵器だ」
『南極 英独仏共同統括基地 極限環境指定異能物管理ターミナル』 「封印指定物を帯出する。許可を」 「政府特別封印指定、声紋認証、許可、可燃性充填液、除去、腐食性充填液、除去、“スタンダード島条約”決議・第十八条に基づき、封印指定物、大指令(ワンオーダー) の帯出を許可します」
江戸川乱歩「ワンオーダーとは何か?お前達、兵士が戦場で敵を殺すのに弾丸を平均何発使うと思う?」 中島敦「?一人やっつけるなら…五発とか十発?」 国木田独歩「いや、威嚇や牽制も含めて平均なら一弾倉かそれ以上、30から60発は必要ではないか?」 与謝野晶子「…多分もっと多い」 江戸川乱歩「五万だ」 「!!」 江戸川乱歩「実際の環太平洋国での戦争の数字だ。殆どの兵士は敵に向けて発砲すらしない。狙いを外して戦ってる“ふり”をする。自分の弾が敵を殺すのを見たくないからだ。それが兵士、それが戦場だ。たとえ戦場の最前線でも…銃で人を撃って殺すという“当たり前”に殆どの人間は耐えられない。だが、現場がそんな腰抜けじゃあ勝てる戦争も勝てない。対策として軍は“考えずに反射で撃つ”訓練を兵士に施した。それで命中率は向上したが、今度は帰還兵の心的外傷後ストレス障害が急増、自殺者まで続出した。まあ要するに戦争は元々人間が居ていい場所じゃないんだ」 神威《福沢もお前もあの戦場を知らないから…“善なる国家”などという戯言を信じておられるのだ》 中島敦「…?そんなの如何やって…」 福沢諭吉「乱歩、その先は私が説明する。ワンオーダーは私の異能に似た兵器だ。私の“人上人不造”と同じく、己の部下にのみ効果を及ぼす。その効果は“部下が必ず命令通りに動く”通信機。異能技師が造ったこの通信機は前線の指揮官が使うことを想定されている。ワンオーダーを通して命じられた部下は身体が上官の一部のように動き、自動的に命令を遂行する。疑問も罪悪感もそこには無い。当然だ。上官が引金の指を動かし、銃弾が敵を殺したのだから。そこには己の責任も罪悪感も差し入る余地は存在せぬ。それは兵士を罪の軛より解放する、優しき兵器、の筈だった」 江戸川乱歩「話の流れで読めると思うが、この通信機は余りに危険すぎる為に封印された。どう危険か判るか?軍事クーデターだ。現場ではなく軍の最高司令官がこのワンオーダーを使った場合、己の部下、即ち国軍全体を一斉に操れる。国家転覆も可能。その可能性に気づいた政府はこの兵器を封印した。開発者である異能技師は事故に見せかけ殺された」 谷崎潤一郎「封印…つまり破壊はしなかったんですね?」 江戸川乱歩「すべきだった。今回のような世界的危機を想定したんだろう。それ自体は慧眼だ。だが英雄・福地がこのワンオーダーを使用した場合、何が起こると思う?」 国木田独歩「そうか、何という何という事だ」
江戸川乱歩「そうだ、福地の部下は人類軍」 江戸川乱歩「地球上の軍隊凡てを傘下に収める“人類軍” その長である福地がワンオーダーを使えば人類は一枚岩となり、吸血種に対抗出来る。だから国連はワンオーダーを福地に託すしかない。何もかも福地の筋書き通り。これで世界の軍隊を一声で操れるようになる訳だ。ま…つまり天人五衰の目的は簡単な一言で説明がつく。あまりに陳腐で使い古された単語、幼稚に過ぎる為誰も真顔で云わないその単語は“世界征服”。今から十二時間後、福地がワンオーダーを空港で受け取る。それさえ阻止すれば僕達の勝ちだ。その為の作戦を今から説明する」 |
← 前の話 | 次の話 → |