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BUNGO STRAY DOGS | |
原作(Original Story): 朝霧カフカ(Kafka Asagiri) 文豪ストレイドッグス 第97話ネタバレ | |
第97話 空ノ港二テ 其の陸 | |
配信日 | 2021年12月3日 |
ヤングエース | 2022年1月号 |
アニメ | 第56話 空の港ニテ(其の二) 第57話 空ノ港ニテ (其の三) |
単行本 | 第22巻 |
登場人物 | 福地桜痴(神威) 条野採菊 芥川龍之介 ブラム・ストーカー 幸田文 |
STORY | |
『空港』 幸田文「(何やってんねんウチは!自分が信じられへん!ウチは異能者でも探偵でもあれへんのに!何でや、何でウチはこんな莫迦を…)」 文の父《常に完璧な女性であれ》 幸田文《男とか女とかうっさいわクソ親父!ウチは正義の味方や!》 『ムルソー』 シグマ「(私はシグマ。カジノの男。私の出自は相当特殊な自覚がある。が、そんな私をして思わせる)」 シグマ「(この部屋でまともな人間は私だけか!?)」 フョードル「30分以内にぼくか太宰君のどちらかが死ぬ」 ゴーゴリ「太宰君には申し訳ない話だ。私が本来殺したいのはドス君だけ。だがこうでもしないと彼は毒を呷らななくてね」 太宰君「何故謝るんだい?これぞ最高の好機。天の恵みだ」 フョードル「確かに。ですが後三十分でチェスの相手を失うと思うと寂しくもありますね」 太宰君「もう勝つ気かい?」 フョードル「それ以外何の結末が?」 「くくくくくく」 シグマ「(こいつら…致死毒の注射を笑いながら…)」 『空港』 幸田文「あかん。どこも封鎖されとる」 ブラム「帰せ」 幸田文「空港から出さえすればどうとでも逃げ切れるのに…なあブラちゃん、あいつら何とかしてよ」 ブラム「余に下賤な盗人を助けよと?笑止」 幸田文「…あっそ、そういう感じなんや、ふぅん」 ブラム「?其方、先程より態度が不遜である」 ブラム「おごが゛が゛が゛が゛が゛が゛が゛」 幸田文「抜けへん」 ブラム「何をする痴れ者!この剣は抜けぬ。剣先が余の脳髄に鬚根(しゅこん)を張っておる」 幸田文「つまり?」 ブラム「引っ張ると大変痛い」 ブラム「愚かな娘なり。余は暗黒の大公。ヒトに仇為す魔種の王なるぞ」 幸田文「その通り…アンタの前に居るんは底抜けの阿保や。その証拠に見てみ。さっきから震え止まらへん。ウチは暴力も戦争も無縁もそのへんの子供。本物の刀見たんすらさっきが初めてや。ウチには何もない。異能力も知識も体力も…持ってるんは十年育てた“こういう危機が来たら絶対逃げへん”ていう覚悟だけ」 ブラム「其方…十歳か?機織り機すら踏めぬ年端ではないか。斯様な幼子が何故闘う?」 幸田文「…何故って」 文の父《違う!雑巾を絞る時は指で包むように!雑巾がけは畳の縁を踏むな!水はバケツの六分目だ。死んだお前の母は掃除、炊事、縫針、家計の工面何でも出来だ完璧な女性だった》 幸田文《せやけどウチは正義の…》 文の父《お前は女の失敗作だ》 幸田文「なあブラちゃん、ウチにはやる気以外何もない。せやから“そっち側の世界”の人の扶けが要る。な?お願い!何でもお礼するから」 ブラム「平民の献上品など高が知れて…」 幸田文「…?は?…ラジオ?」
ブラム「どうだ?無理であろう?」 幸田文「ラジオかあ…親父が昔使ってたか…?いやでも…うーん…コレではあかん?」 『ムルソー』 太宰治「今から三十分で」フョードル「どちらかが死ぬ」 ゴーゴリ「さて、今更だが説明しよう!君達が先程収監されていたのは最下層。危険異能力者収容のための異能空間、通称“無限賽室(むげんさいしつ)”。今いるのはその上、通常監房の地下第四層だ。それでも地上までの脱出経路には世界最高峰の警備機構が待ち構える」 ゴーゴリ「まず各層の廊下は数十もの“セル”と呼ばれる区画で区切られて、通り抜けるには暗証番号が必要となる。隔壁の解除番号は六時間ごとに変更され、入力を一度でも間違えば永遠に開かない。隔壁の厚さは扉も壁も驚異の120センチ!しかも耐異能性特殊金属で破壊は不可能」
ゴーゴリ「隔壁を抜けても更に厄介な昇降装置がある。上層階には、この昇降装置で上るしかないが、動かすには掌紋・声紋・網膜・遺伝子認証がすべて必要だ。その認証信号は中央制御室に送られ、そして監視員が搭乗者を映像確認してようやく昇降装置が作動する。だから誤魔化しは不可能。お腹一杯かい?まだまだあるよ~!」 ゴーゴリ「すべての階層で重武装の警備兵が巡回、警告なしで発砲してくる。彼等の武器にも遺伝子認証が使われていて奪って使用すれば警報が鳴る。いやー流石は私の企画したゲーム。百万回死んでも脱出は無理だね!あ、一番悪い情報を伝え忘れてた。不審者が見つかると即、隔壁が閉鎖、十秒後に注水が開始される。ご丁寧にも普通の水ではなく同位体元素で構成された重水だ。普通の水より比重が重いため、潜って中を泳げない。おまけに人体に有害で多量に飲むと死ぬ」
ゴーゴリ「つまり警備に見つかれば閉じ込められ、魚すら溺れる水を注がれ苦悶と後悔の中でもがき死ぬ。勿論、30分経っても注射した毒が君達を殺す。どう?泣きたくなってきた?」 シグマ「(こいつら…相手が溺れ死ぬ様子を想像して喜んでる)」
シグマ「誰が助手だ」 ゴーゴリ「この中から各々一つだけ持ち出しを許可する。いずれも勝敗を決定しうる強力な武器だ」 ゴーゴリ「まずは巡回警備兵が使う無線機。周波数ホッピング方式で盗聴不可能。だから警備の動きを読むにはこれに頼るしかない。最高警備長級認可の開扉カード。唯一の出口、洋上ヘリポートへの扉はこのカードでしか開かない。ご存じ、硬貨爆弾、火薬増量型。ここに侵入する時に使った残りだ。衛星通信電話機。電波の通じる第一層まで行けばこれで世界中の協力者に応援を要請できる。ある意味で最強の武器だ。問題はどれを選ぶか」 フョードル「始まっているという訳ですか」 ゴーゴリ「だが、どちらが先に選ぶ?それは勿論ドス君からだ!親友だからね」 シグマ「(殺そうとしている癖に…)」
フョードル「では、これを」 ゴーゴリ「いいだろう」 シグマ「(…この開扉カードは出口に至る為。つまり勝利に絶対必要。ドストエフスキーの行動は不可解で幽鬼めいているが、その実、誰よりも合理的で冷徹。あの時もそうだった)」 ゴーゴリ「さぁ太宰君、君は何を?」
太宰君「これがいいね」 シグマ「…私?」 |
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