脹相「兄さ、10人兄弟のな」 禪院直哉「答えになってへんねん。俺は術式とそのしぶとさのことを聞いてん、ねんっ!」
禪院直哉「(合わせてきよった。成程な、赤燐躍動か!その能力を外眼筋に集中させて動体視力を上げてるんや!) 残念。こっちはカウンター前提で動き作っとんのや」 脹相「クソ!」 禪院直哉「君しつこいから使わせてもろたで、得物。赤血操術やし止血はお手のもんやろ。止血に気ぃ回しながらどこまで俺とやれるか試してみよか。血ィ払ってからしまわんとな」
脹相「用意がいいな」 禪院直哉「内緒やで、ぶっちゃけダサいと思っとんねん、術師が得物持ち歩くの。それがないと勝たれへんってことやし、意外とおんで、同じ考えのやつ。俺の兄さん方もブラブラとみっともないねん。よぉアレで甚爾君のことやいやい言えたもんや」 脹相「嫌いなんだな、兄弟が」 禪院直哉「嫌いやね。弟よりデキの悪い兄なんか居る意味ないやろ。首括って死んだらええねん」 脹相「その兄弟達のおかげで、今のオマエがあるのかもしれんぞ」 禪院直哉「は?今めっちゃキショいこと言うた?ドン引きやわ」 脹相「デキが良かろうと悪かろうと兄は弟の手本なんだ。兄が道を誤ったのなら、弟はその道を避ければいい。兄が正道を歩んだなら、弟は後をついてくればいい。オマエが強いのはオマエの兄が弱いおかげだったらどうする?何故俺がしぶといのか聞いたな。教えてやる。俺には手本がない。何度も何度も間違える。それでも弟の前を歩き続けなければならん。だから俺は強いんだ」
禪院直哉「(どーいうこっちゃ!?なんでこの出血で生きとんねん)」 『九相図は呪霊と人間の混血。呪力を血液へと変換できる特異体質。呪力が枯渇しない限り失血死することもない』 禪院直哉「(ヤバイ。距離をとらされた上に大量の血で奴を見失った!トロい攻撃や。やっぱ出血で死にかけなんやろ」 禪院直哉「(この血を被るわけにはいかん!足が重い!生地に滲みとる血を固定しとんのか!)」 脹相「後は分かるな、詰みだ」 禪院直哉「どうやろな (俺の術式は事前に24fpsで作った動きを後追い(トレース)する。この程度の足止めやったら問題なく動ける) 試してみぃや」 『これは150年、自らの術式と向き合い続けた脹相のオリジナル』 禪院直哉「(なんで、撃ってこぉへんのや)」 脹相「超新星。悪いが兄弟を愛せなかったオマエの気持ちは分らん」
乙骨憂太「辛そうですね、直哉さん」 |