『禪院家』 禪院直哉「誰かと思ったわ、酷い面やな。それもう治らんやろ?どうすんの?真希ちゃん」 禪院真希「女を顔で判別できたんだな。尻しか見てねぇと思ったぜ」 禪院直哉「どうすんのって聞いてんねんけど、答えろやカス。呪術も使えん、呪霊も見えん、取柄のお顔もグズグズ。もう誰も君のこと眼中にないで。寂しいなぁ、昔みたいにまたイジメたろか?どうすんの?乙骨君と恵くんの金魚のフン?なんとか言えやカス」
真希の母「真希、戻りなさい。忘れたの?忌庫への立入りは私達に許されていないの」 禪院真希「当主様がいいって言ってんだよ」 伏黒恵《禪院家当主!?俺が!?》 禪院真希《ああ、直毘人の遺言だ》 伏黒恵《お断りします。面倒くさい》 禪院真希《いや、悪いが受けてくれ。直毘人は恵には禪院家の財産を全て譲るって言ったんだ。金に呪具、当主になれば御三家や総監部の情報も入ってくる。これからの私達の立ち回りが大きく変わる》 伏黒恵《じゃあ、真希さんがやって下さいよ。ゆずるんで》 禪院真希《今の私じゃ誰も納得しねぇしついてこねぇよ。相伝の術式を継いでいること!領域を会得していること!更に悟に目をかけられていたドラが乗った恵でギリだ!》 伏黒恵《納得とか…禪院家の人がどう思おうと関係なくないですか?さっき言ってた恩恵は当主になりさえすれば受けられるでしょ》 禪院真希《…まだ私じゃダメなんだよ。私じゃ真依の居場所を作ってやれない》 伏黒恵《分かりました》
真希の母「戻りなさい!どうして?どうしてアナタはいつもそうなの?一度くらい産んで良かったと思わせてよ…真希」 禪院真希「親父…!」 禪院扇「ここに呪具はないぞ、真希。オマエ達の動向を見越して空にしておいた」 禪院真依「なんで来たのよ、馬鹿」 禪院真希「真依!」
禪院直哉「こうする気やったら始めっからそう言えや」 禪院甚壱「オマエが先走りすぎなんだ直哉。確かに伏黒恵はオマエより幾分ましだ」 禪院直哉「あ゛?」 禪院甚壱「五条家との関係修復の契機として彼を後押しする声も少なくない。だが、全財産を伏黒恵に譲るというのは俺達も到底納得できない」 禪院直哉「じゃあ、何をトロついとったん?」 禪院甚壱「伏黒恵は五条家だけではなく、加茂家次代当主、加茂憲紀とも友好な関係を築いている。理由もなく消せば立場を悪くするのは我々禪院家。五条悟が封印され、変動する勢力争いに遅れをとることになる」 禪院直哉「それは分かったけどなんで今なん?」 禪院甚壱「総監部の通達をろくに聞いていないな」 《二、五条悟を渋谷事変共同正犯とし、呪術界から永久追放、かつ封印を解く行為も罪と決定する》 禪院甚壱「利用しない手はない。五条悟解放を企てた謀反者として、伏黒恵、真希、真依を誅殺する」 禪院直哉「くっくっくっ、実の娘を殺した方が信憑性が増すもんなぁ」 禪院甚壱「あぁ、それにより総監部からの信頼もより強固となる」 禪院直哉「でもそれでいいん?扇のオジさんは」 禪院甚壱「発案者は扇だ」
禪院扇「秘伝“落下の情”」 『纏った呪力により触れたモノを迎撃する領域対策「落下の情」を居合いに転用。万が一の交渉材料として生かした真依、真希の所持する未知の呪具、それら不測の事態に備えつつ渾身の一振りを放つ』 『組屋鞣造の傑作、呪具“竜骨”。刃で受けた衝撃と呪力を蓄積し、使い手の意図に合わせ峰から噴出する』 禪院真希「(呪具の効力を知られてねぇアドバンテージを生かす。居合い勝負に乗ったと見せかけて二撃目・三撃目で斬る)」 禪院扇「何故、前当主が私ではなく直毘人だったか知っているか?」 禪院真希「テメェが子供を殺せるクソ野郎だからだろ」
禪院真希「(なんで…折ったはずの刀身が…!?)」 禪院扇「何故私が当主になれなかったか…それは子供のオマエ達が出来損ないだからだ」 |