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DEMON SLAYER |
原作(Original Story): 吾峠呼世晴(Koyoharu Gotōge) 鬼滅の刃 第187話ネタバレ |
第187話 無垢なる人 | |
配信日 | 2019年12月16日 |
ジャンプ | 2020年3号 |
単行本 | 第21巻 |
登場人物 | 継国縁壱 竈門炭吉 竈門すやこ 竈門すみれ 珠世 鬼舞辻無惨 竈門炭治郎 |
STORY | |
『その男は暴力的な生命力に満ち溢れていた。火山から噴き出す岩漿を彷彿とさせる男だった。ぐつぐつと煮え滾り全てを飲み込もうとしていた。“呼吸を使う剣士にはもう興味はない”そう言うや否や男は腕を打ち振るった。恐るべき速さと間合いの広さだった。攻撃を避けると遥か後方まで竹が斬り倒される音がした。擦り傷でも死に至ると感じた。私は生まれて初めて背筋がひやりとした。男には心臓が七つ、脳が五つあった』
『この瞬間に私の剣技が完成した』 竈門炭治郎「(完成した型…!十三個めの…!知りたい!教えて欲しい!)」 『男は自ら肉体が再生しないことに困惑している様子だった。斬られた頚が落ちぬよう支えていたが、繋がることはなかった。私の赫刀は鬼の始祖でも覿面に効くのだと知った。私はこの男にどうしても聞きたいことがあった』 継国縁壱「命を何だと思っている?」
『男からの返答はなかった。男は私を見ていたが、怒りのためか顔が赤黒く膨れ上っていて、私の言葉は男の心まで届かないと思った。ふと、男が連れていた鬼の娘に目をやると、彼女は男を助けようともせず、前のめりにカッと目を見開き、頚を斬られた男の姿を凝視していた。奇妙なことにその瞳はきらきらと希望の光で輝いて見えた。私は彼女より先に男に止めを刺すことにした』
『私が一歩男に近づくと、食い締められた奥歯の砕ける音がした。次の瞬間、男の肉体は勢いよく弾けた。千八百に散らばった肉片のうち、千五百と少しをその場で斬った』 『けれども、残りの肉片は小さすぎた。合わせれば恐らく人間の頭程の大きさの肉片を逃がしてしまった。私が立ち尽くしていると、悲鳴のような泣き声のような娘の声と共に倒れ込む音がした』 珠世「もう少しだったのに…もう少しだったのに…頚の弱点を克服していたなんて…」 『言葉を絞り出して娘は頭を掻き毟った』 珠世「死ねば良かったのに!生き汚い男!鬼舞辻無惨!」
珠世「死なない…なぜ私は死なない?」 『慌てふためく娘を宥めると、堰を切ったように男について話してくれた。そして鬼の始祖、鬼舞辻無惨はもう私が死ぬまで姿を現わさないだろうと言った。私は無惨が弱ったため一時的に彼の支配から解放されたという彼女に彼を倒す手助けを頼んだ。娘は始め戸惑っていたが承知してくれた。彼女の名は珠世と言った。悲しい目をしていた』 竈門炭治郎「(珠世!?珠世さんのことか…!?)」 『その後、駆けつけた仲間から兄が鬼になったことを聞いた。私は鬼舞辻を倒せなかったこと、珠世を逃がしたこと、兄が鬼になったことの責任を取るため鬼狩りを追放された。一部の者からは自刃せよとの声も上がったが、六つの身で当主となったばかりのお館様がそれを止めてくださった。父を亡くして心の弱っている子供にさらなる心労をかけて申し訳なかった』
竈門炭吉「縁壱さんは悪くない…」 継国縁壱「私は恐らく鬼舞辻無惨を倒すために特別強く造られて生まれて来たのだと思う。しかし私はしくじった。結局しくじってしまったのだ。私がしくじったせいでこれからもまた多くの人の命が奪われる。心苦しい」 竈門炭治郎「(…言葉が出ない。あまり多くのことが縁壱さんの身に起こりすぎていて、かける言葉が見つからなかった。もしかしたら俺の先祖の炭吉さんなら何か言ってくれるかも知れないと思ったけれど、しばらく沈黙だけが続いた。どうにかしてあげたい。この人は深く傷ついてここに来たんだ。どうにか…)」
竈門すみれ「だっこぉ」 竈門炭吉「あっ、だっ…抱いてやってください。高く持ち上げてやると喜ぶのであなたは私より上背もあるし…」
竈門すやこ「炭吉さんただいまぁ。見てこれ。今年の栗こんなに大きいのよ。どうしたの…」 竈門すやこ「あれぇ?まー縁壱さんじゃない!そんなに泣いてどうしたの。きっと大丈夫よぉ。お腹いっぱいご飯食べさせてあげますから、ねっ!元気出して!ほらぁ」 竈門炭治郎「(戦いの最中だというのはわかっている。それでも縁壱さんの心が、何百年も昔に亡くなっているこの人の心が、ほんの少しでも救われることを願わずにはいられなかった)」 | |
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