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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第68話ネタバレ | |
第68話 噂の宦官と氷菓 | |
単行本 | 第13巻 |
ビッグガンガン | 2024年 Vol.01 |
配信日 | 2023年12月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 里樹妃(リーシュヒ) 羅漢(ラカン) 小蘭(シャオラン) 虞淵(グエン) 子翠(シスイ) 河南(カナン) |
STORY | |
『翌日 後宮』 『宦官が作れなくなり減少する男手を補填するために異民族に囚われ去勢された元奴隷たちが新しい宦官として後宮に入った。元奴隷たちは人に対する怯えが抜けず、自由を与えられたとてうまく生きていくことが難しい。後宮の仕官はある意味最も適した術といえる』 壬氏「(今は裏方で力を使う仕事をしているが、適性次第でいずれ異動することになるだろう) あの者は左腕をどうかしたのか?」
宦官「ひどい折檻を受けたようで身体の左側が痺れているとのことです。他に傷痕も多く残っているようであまり肌も見せたがりません」 壬氏「…そうか (であれば水汲みはあまり適した仕事ではないだろう。それに凛々しく整った顔は目立つ。人の多い南側の仕事は不向きだ) それにしても人気者だな」 宦官「ええ、頭はいいらしく女官たちへの気配りがうまいのです」 壬氏「なんだ?」 高順「あなたが言えることですか?」
宦官「どうしてくれんだ!妃のための氷だぞ!落ちて壊れた!氷の欠片でもお前一人は買える価値があるんだ!もう代わりは間に合わないぞ」 壬氏「(まだ暑さが残る季節だ。妃の誰かが所望したのだろう。冬の間に山地の氷室に溜められた氷も今の時期には少なくなり、かなり貴重になっている)」 小蘭「ご…ごめ…なさ…」 壬氏「(さて、あの女官には見覚えがあるが誰だったか)」 猫猫「失礼しました。前方不注意でした」 壬氏「(…ああそうか、あれは猫猫と仲のいい女官だ)」
宦官「謝って済むと思っているのか」 猫猫「(氷が落ちたのは小蘭のせいだ。妃から小さな簪を貰ってはしゃいでいて前を見てなかった。しかし氷が用意できなくて罰を受けるのはこの宦官なのだから怒るのも仕方ない。一度でも泥のついた氷はお出しできない。だがこのまま水にするのももったいない。これだけ大きな氷を用意できる妃は四夫人か実家が裕福な中級妃くらいだろう) どのお妃さまですか?」 宦官「楼蘭妃だよ」 猫猫「(よりによって伝手のない妃か…派手好きな楼蘭妃は氷菓子で夕涼みがしたかったのだろう。どうする?弁償できる金額ではないし上級妃の機嫌を損ねるのも恐ろしい。せめて氷の代わりになるものが用意できれば……!) この氷いただけますか?」 宦官「勝手にしろ」 猫猫「わかりました。これを使って氷の代わるものを準備します。それを楼蘭妃の元に持っていって貰えないでしょうか」 宦官「できるものならやってみろ。妃はあと半時もしたら点心を所望するぞ」 猫猫「(ぎりぎり間に合うか…それ以前に材料を揃うだろうか…いや悩んでいても仕方ない。とにかく利用できるものを使うしか……なぜこんなところに…いやそんなこと考えている場合じゃない)」
『医務室』 小蘭「どぉしよー猫猫」 猫猫「(あの場ではどんな罰を受けるのか恐怖で動けなかったのだろう)」
壬氏「何か用か?」 猫猫「調理場の材料を貸していただけませんか?」 壬氏「ずいぶんわがままだな。見返りは?」 猫猫「(もったいぶるなよ。こちらには時間がないんだ)」 猫猫「私が壬氏さまに与えられるものはございません。でも貸してください (分不相応にもほどがあるとわかってる。けれどそんなこと言っていられない)」 壬氏「おまえがやらかしたことではないだろう」 猫猫「でしょうね (小蘭を見捨てることは簡単だ。元々噂話を聞くのにちょっどいい存在だっただけ。それだって土産の点心で貸し借りはないだろう。助ける義理はない。しかし)」
猫猫「このままだと寝覚めが悪いので」 壬氏「ぶっ、そうか寝覚めが悪いか」 猫猫「はい、その日の仕事に差し支えます」 壬氏「それは困るな。では条件をつけよう。今後は人の話を最後まで聞くように」 猫猫「そんなことでいいのですか?」 壬氏「そんなこともできないのは誰だ?」 猫猫「はて?」 壬氏「そうか💢なら別の条件にしよう。何がいいかな?」 猫猫「(嫌な予感がする。何かさせられるくらいなら玉葉妃を頼るか?いや楼蘭妃のことで頼るわけには)」
壬氏「おまえ簪はつけないのか?翡翠宮の侍女たちは洒落ているだろ」 猫猫「ありがとうございます。そう言われましても装飾品なんて」 壬氏「園遊会で俺がやったのがあるはずだ。まさか売り払ってないだろうな」 猫猫「売っていません (今はまだ)」 壬氏「じゃあそれをつけてこい」 猫猫「…それだけですか?」 壬氏「悪いか?つけてきたらそのとき言おう。すぐ用意する。ついてこい」
小蘭「ねぇ猫猫、これで本当に氷菓子みたいなのができるの?」 猫猫「たぶんね (作りたてのバターを好んで食べる妃がいたおかげで新鮮な牛の乳が手に入ったのは幸いだった。牛の乳と砂糖を金属の器に入れ、茶筅でかき混ぜる。茶筅を使うのは空気を入れるためだ)」 猫猫「これをひたすらかき混ぜて」 小蘭「うん、わかった」 小蘭「何してるの」 猫猫「氷を砕いてる。ある程度砕けたら器に移して大量の塩と少しの水を加える。小蘭、この器ごとその中に突っ込んで」 小蘭「はいっ」
小蘭「えっ固まってる!」 猫猫「そこの果物小さく切って」 小蘭「うん」 猫猫「果物入れて、さらに混ぜて、器に盛り付ければ」 小蘭「完成!?」 猫猫「(もっと時間があれば卵を入れたり薬草で香りをつけたりもできただろうが、一度見ただけの氷菓(アイス)の再現としてはまあ及第点だろう) さあ早く持っていって貰おう」 小蘭「味見って必要じゃない?」 猫猫「(いつもの調子が戻ってきたな) 器に残ったやつなら」 小蘭「ん~美味しい」 猫猫「はい!できたよ!これお妃さまに持っていって!」 宦官「本当にできたのか?」 猫猫「何か問題ありますか?」 小蘭「早く早く!溶けちゃう」 宦官「わかった」
小蘭「よかったぁ。ありがとう猫猫」 猫猫「どうだろ?妃が気に入ってくれるかが問題だよ」 小蘭「いじわる言わないでよーもう」 猫猫「(一応、壬氏から好き嫌いの類を聞いたので口はつけてくれるだろ。量も十分に作ったし)」 小蘭「それより残りが解けちゃう前に食べよ」 子翠「そうだよ、食べようよ♫」 小蘭「子翠!」 猫猫「何でここに?」 子翠「なんか騒がしいのが目について仕事を放り出してきてしまいました」 小蘭「ろくでもないね!…って子翠!一人で美味しいとこだけ持ってかないで」 子翠「おいひいわこれ」 猫猫「(こりゃ足りんな…もう一回くらいなら作れるか?)」 『一件落着』 |
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