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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第69話ネタバレ | |
第69話 逆子 | |
ビッグガンガン | 2024年 Vol.02 |
配信日 | 2024年1月25日 |
単行本 | 第14巻 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 高順(ガオシュン) 玉葉妃(ギョクヨウヒ) 羅門(ルオメン) 紅娘(ホンニャン) 桜花(インファ) 貴園(グイエン) 愛藍(アイラン) 虞淵(グエン) 鈴麗(リンリー) |
STORY | |
『翡翠宮』 玉葉妃「あら動いたわ。赤子とはいえ個性が出るのね。鈴麗は上ばっかりだったけど、この子は下ばっかり蹴っているわ」 猫猫「下ばかりですか…少し見せてください。触れても大丈夫でしょうか」 玉葉妃「いいけど、どうしたの?」
猫猫「紅娘さま、鈴麗公主の出産の際はどうでしたか?」 紅娘「公主のお体が少し小さかったのも幸いして初産とは思えないほど安産だったけど」 猫猫「助産はどうしたのですか?」 紅娘「年嵩の助産婦を一時的に後宮に迎えていたのだけど、体調を崩してしまって勉強していた私が急遽代理を務めたわ。大事な場面で腹痛になるような者には任せられないと思って。梨花妃にも別の助産婦がついたそうよ」 猫猫「(紅娘が勤勉だから大事に至らなかったのだろう。また助産婦を後宮内に入れるのだろうか)」
玉葉妃「猫猫、なにかあるなら言ってみてちょうだい」 猫猫「もし逆子だった場合、うまく対応できるかと思いまして」 玉葉妃「逆子?」 猫猫「ずいぶん下のほうばかり蹴られているようなので、もし叩いてるのではなく蹴っているのであれば赤子は頭を上にしていることになります。身体で一番大きい頭から産道を通るほうが円滑に出産できますが、足から先に出てくる場合は危険性が一気に上がります」 玉葉妃「逆子ってわかるの?」 猫猫「あくまで可能性です。もっと詳しく触診すればもう少し状態がわかります」 玉葉妃「できるの?」 猫猫「(それは断言しづらい。おやじから教わったのは薬学についてで医学の知識はおやじの行動を見て盗んだものだ)」
玉葉妃「やってちょうだい」 猫猫「(触診では陰部に触れる。お姫様にその行為は恥辱以外の何者でもない。言われた通りやって罰を受けてはたまらないし) こういう方法ですが大丈夫ですか?ゴニョゴニョ…」 玉葉妃「あら、ほんとう?まあ子どもを産んだときに比べたら大したことないわね。お願いするわ」 猫猫「わかりました (母は強しということかな。玄人ではないからなんとも言いがたいが、蹴る感覚や心音の位置から八割がた逆子だ。もっと早くやるべきだった。しかし赤子が小さくては判断もできなかっただろう。逆さまの赤子が育つうちに腹の中で向きを変えることはある。しかし、玉葉妃はすで妊娠後期。生まれるまで二月あるか否かの今の時点で逆子は少々まずい)」 玉葉妃「どうすればいいのかしら?」 猫猫「身体を動かしたり灸をすると治りやすくなると聞きます。灸は私でもできますが、身体の動かし方は後宮外で聞いたほうがいいかもしれません」 玉葉妃「そうなの…じゃあついでにほかの方法も聞いてみましょう。猫猫は灸をお願いね。そうだ、もし戻らなかったらどうなるのかしら」
猫猫「最悪の場合、腹を切ることになるかと…(あまり考えたくはないが、もし切ることになれば玉葉妃の命が危ない。ちゃんとした助産婦がいても、まともな医者が近くにいないと不安要素だ。やぶ医者は人が良いが決して有能ではない。だからといって新しい医者を後宮に迎えるためには新たに切り落とさなければならない。宦官の手術が出産に間に合うか…いっそ制度を変えてしまうか…いや、背に腹は代えられない) 玉葉さま、何度か赤子を切開によって取り上げた経験がある腕の良い医師を一人知っています。ただし、一度後宮を追い出された罪人です」 紅娘「そんな者認められるわけがありません!玉葉さまのお命がかかることです。信頼できるものでないといけません」 猫猫「(紅娘の言い分はもっともだ。普段なら素直に引き下がるところだが、今回は玉葉妃の安全を考えると養父の羅門こそ最も正しい選択だと思う。お人よしで運がない婆みたいな爺だけど) 信頼できます。そこらの医官を十人集めてもその者には敵いません。国一番の医師です」 紅娘「珍しくずいぶん大きな口を叩くわね。それでも罪人であることは聞き捨てならないわ」
玉葉妃「ねぇ、どんな罪を犯したというのかしら?紅娘、ちゃんと話を聞くべきだと思うわ。猫猫も落ち着いて説明してちょうだい」 猫猫「その者は元宦官で医官でした。過去には主上と現東宮さま阿多さまの御子を取り上げております。後宮を追放された理由は阿多妃関連としか聞いておりません (それらしき原因に心あたりがなくもないが確認のない曖昧なことは口にできない。だが上級妃であり、皇帝の寵妃である玉葉妃がこの手の話を聞いたことがないわけがない)」 玉葉妃「そうなの…そういうことね…その元医官と猫猫とはどういう繋がりなの?」 猫猫「私の養父です。薬師としての師でもあります」 玉葉妃「…わかったわ。壬氏殿に提案してみましょう」 紅娘「玉葉さま!」 玉葉妃「紅娘、私は優秀な人間ならできるだけ使いたいと思っているわ。それに信頼できるという点が加わればなおいいの。野良猫みたいなこの子がこれだけ懐いているのよ。悪人ではないはずだわ」 猫猫「(野良猫とはひどい)」 紅娘「でも罪人です」 玉葉妃「罪人っていうけれど、あの頃の後宮についてはあなたもいくつか知っているでしょ。偉大なる女帝の時代に流された方たちはどれだけいたかしら…簡単に鵜呑みにするわけ?」 猫猫「(さすがの貫禄だ)」 玉葉妃「気になるなら監視をつけてもらいましょう。それくらいは問題ないわよね」 猫猫「はい」
『それから二日後、おやじは思った以上に迅速に後宮へやってきた。あくまで臨時の登用ということで、やぶ医者の解雇の心配もなさそうだ。後宮にいる間おやじはやぶ医者の元に置かれるらしい。また毛毛の毛艶がよくなるな。花街にはおやじ以外ろくな医者がいないから年明け前には帰ってもらわないとやり手婆が後宮に乗り込んで来かねない』 桜花「今のが猫猫のお父さん?」 猫猫「…まあそうです (正しくは大叔父だけど)」 桜花「なんか全然想像と違ったんだけど…なんていうか常識人っぽいっていうか…本当にあの人が猫猫を育てたの?」 猫猫「(…なにを想像していたんだが…)」 |
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