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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第70話ネタバレ | |
第70話 巣食う悪意(前編) | |
ビッグガンガン | 2024年 Vol.03 |
配信日 | 2024年2月24日 |
単行本 | 第14巻 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 羅門(ルォメン) 虞淵(グエン) |
STORY | |
『医務室』 『罪人が苦手な紅娘の指示で自分の仕事は今まで通りにすることになった。灸に使うもぐさは取り寄せた方が楽だが、後宮に生えた材料でできるし、なにより医局にくる口実にもなる』 虞淵「この子はね、賢いから小魚の頭と尾とはらわたは食べないんだよ」 羅門「おや、そうですか」 『おやじが来て数日。やぶは反応のいいおやじに調子に乗って要らないことばかり教えている』 羅門「この苦味が美味しいんですけどね」
『花街よりまともな飯を貰っているだろうに…おやじは才覚のある医師だが、猫の食べ残しすらご馳走になる。欲を知らない素朴な男なのだ。基本は医局にいるおやじだが時折宦官から呼ばれどこかへ出て行く。おそらく壬氏の計らいで梨花妃の元へも行っているのだろう。後宮に入る以上、妃は平等に扱わねばならない。今度の子はちゃんと育ってほしい。そのためにはまず無事に産むことだ。杏(シン)という侍女頭が去った後、水晶宮には高齢の落ち着いた侍女たちが入った。きっと分相応を知っており、出産経験のある者たちだろう。後宮の子どもを産み育てる機能はいまいち動いていない。作るだけ作って生き残った子どもが帝の子、それが宿命と言われれば仕方ない。連続で赤子が亡くなっていることで帝の血筋の男子は少ない。あけすけに言うなら今後種の馬が足りない。おやじもそのところに気付いているみたいだ。しかし後宮の問題点をまとめて一体どうするつもりなんだろう』 虞淵「綺麗な字を書くねぇ。でもなんか子どもぽっい文じゃないかい?」
羅門「まだここでは簡単な文しか使えない者もいますから…猫猫、なんか物足りない点とかあるかい?」 猫猫「…ぱっと見足りていると思う」 羅門「そうかい。虞淵(グエン)さん、この半分くらいの大きな紙って実家のほうには置いてあるかな?」 猫猫「(虞淵?…ってやぶ医者の名前か…似合わねえなあ)」 虞淵「そんな切れ端みたいな紙は売り物にならないから溶かして新しい紙に作り直しているね」 羅門「じゃあ安価で譲っていただけませんか?」 虞淵「そりゃあ問題ないよ」
羅門「最近、開かれている手習い所の皆は字は上手になっているかい?」 猫猫「個人差はあるけど、読める字にはなってきたかな」 羅門「では、これの書き取りを練習に使えないかね。私じゃ駄目だろうけど、おまえなら聞いてもらえるだろう?」 猫猫「(人と物を無駄なく使う商人みたいな頭の回りようで、なぜ飢えるまで慈善事業をするんだか) 聞きに行ってみる」 羅門「頼むよ」 猫猫「(おやじがやろうとしていることは賛成を得られると思う。お伺いは立てるべきだが、壬氏を通すと数日遅れるだろうし、手習い所へ行くか…っとその前に) 小父さん、アルコール何本かと睡眠薬貰っていくね」 虞淵「あいよ」 猫猫「(アルコールは元々私が作ったものだけけど、勝手に取ったらおやじからやぶをもっと敬えと怒られる。睡眠薬は妊娠中で眠りが浅くなっている玉葉妃のためのもので負担がないよう気休め程度のもの)…こら破れる」 虞淵「おいどうしたんだい?」 猫猫「(これかな?) やらないから (大切な生薬を毛玉ごときにやるわけにいかない)」
猫猫「(あ、壬氏から貰った簪、付け直すの忘れてた。あとで付けないと…あれを付けてると皆が揶揄ってきて面倒なんだよな)」
『手習い所』 猫猫「(今日はこっちにいないのか…あの廟をおさめる老宦官はちょっと癪だが、おやじを知っていたし話を持ちかけやすいと思ったんだが…部屋の方にいるのか?)」 猫猫「いらっしゃいますか」 老宦官「今日は小蘭はいないのかね」 猫猫「個人的な用事でやってまいりました (小蘭は人懐っこいので色んなところで可愛がられているようだ)」
猫猫「これを」 老宦官「これは羅門の字だね」 猫猫「よくおわかりで」 老宦官「昔、科挙のときはあやつの字を真似ると受かると皆で真似したものさ」 猫猫「(それは四十年いや五十年前の話かもしれない。医官の資格と科挙は別のものだが、おやじはどちらも受かっている。おやじならきっと文官もできただろうが、浮浪児の病気を治すため医学の道を選んだ。昔からそういう性格だったため、おやじは実父からかなり疎まれていたという)」 老宦官「これをわざわざ送ってきたのかい?」 猫猫「いえ、今現在後宮にいます」 老宦官「ほう、それは初耳だ」 猫猫「(小蘭のような噂好きの下女がいても北側まで話は届かないのか)」 老宦官「小蘭も知っていたなら教えてくれたらいいのに」 猫猫「若い宦官の噂で持ちきりでしたから、それにかき消されたのでしょう (実際おやじを見た小蘭はあまり興味がなさそうだった)」 老宦官「若い宦官か…いくら刺激が少ないとはいえ騒ぎ立てるのもどうかと思うんだがね」 猫猫「どうかしたのですか?」 老宦官「南の女官の仕事がおろそかになるからって、こちらに数人宦官が送られてきたんだよ。診療所は男子が増えてなんだかんだで助かっているようだけどね」 猫猫「(診療所か…あそこは落ち着きのある年齢の女官ばかりだ。以前出会った深緑(シェンリュ)という肝っ玉の太い女官はきっと新入りの宦官たちをいいように使っているのだろう)」
老宦官「さて、本題だけどどんな頼みごとだい?」 猫猫「紙はこちらで準備するので練習としてこの注意書きを手習い所の女官に書いてもらえないかと」 老宦官「それくらい構わないよ。自分で書くのに比べたらなんてことない頼みだね」 猫猫「…まるで書いたことがあるみたいに言いますね」 老宦官「ああ、昔も似たようなことをしたよ。あの時は羅門一人でやっていたから私が手伝ったんだ。それを後宮のいたるところに貼って見るたびにうんざりしたもんさ。あやつでも年を食って人をうまく使えるようになったか」 猫猫「(おやじの試み…それは後宮に提示する注意書きを手習い所の下女に量産させるというものだ。用意した文書には毒おしろいなどのことが端的に書かれている…それが昔同じように貼ってあった?)」
猫猫「のちほど紙を持ってきます」 老宦官「おや、茶の一杯くらい飲んでいかないか?」 猫猫「いえ、急いでいますので (行かなくては…この違和感を確かめるために)」 |
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