SPY×FAMILY | 第101話『ヘンリー先生とマーサの過去⑤』ネタバレ

SPY×FAMILY
原作(Original Story): 遠藤達哉(Tatsuya Endo) SPY×FAMILY 第101話ネタバレ
MISSION: 101
配信日	2024年7月8日
次回配信	2024年7月22日
登場人物	マーサ ポール
『ひたすら東に向かって歩き、戦線に一歩また一歩と近づくたび、緊張感が増してゆく。街に軍隊のにおいが充満し始める。硝煙・鉄・革・油・埃 フィールドキッチンのスープ…』 マーサ「(スープ…お腹すいた。死んじゃう。パンももうないし…ダメだ、何か買おう。アナベルさんがくれた大切なお金で…お店お店)」 店主「食糧？大低のモンは軍に徴発されちまったよ。配給カードは？」 マーサ「あ…えっと…」 店主「でかお嬢ちゃんこんな時期に女一人で残ってるかい？地元民？」 マーサ「あの…はい、家にカード忘れちゃったので取りに帰ります…！」 『NOTICE! 東国兵による盗難事件が頻発しています。発見次第、即通報または排除を』 マーサ「(男物の服も探さないと…ごめんアナベルさん。娘さんの服置いてくね…それと情報収集)」 マーサ「(どうやって西国軍の間を縫って東まで戻るか。当然ながら地図を見ても軍の配置なんてわからない。予測して動くしかない。東国の敗残兵が街に流れてきてるってことは戦線からそう遠くない…と思いたい。でも街の人の会話を聞く限り、たぶん東国軍は大きく後退してる。早く戻らないと置いてかれちゃう。でも地雷を敷設してる可能性があるからルートは慎重に選ばないと)」 「地図なんて機密性の高いモンよう持っとるなボウズ！」 マーサ「あ…祖母からもらったもので…(低い声、低い声)」 「そうかぁ、軍に取り上げられんよう気ィつけな？」 マーサ「(長居は危ない。食料を確保したらすぐ街を出よう)」 『そうして私は歩き続けた。寒さと飢えと敵襲の恐怖に抗いながら“愛する人たちの元へ帰る” その意志だけが私の足を支えた…と思ったけどダメだった。ムリなものはムリだった』 マーサ「(もう交戦区域に入っていてもおかしくないのに何の音も聞こえない。東国軍(なかま)どこ…？ダメだ、もう一歩も歩けない……)」 マーサ「(車の音…？軍用車だ…！)」 兵士A「何だ行き倒れか？」 マーサ「(西国軍…！終わった…)」 兵士B「こいつ多分東国兵だろ。どうする？始末しとく？」 兵士A「よせよ、ほっとけ、戦争はもう終わったんだ」 マーサ「(戦争が…終わった…？)」 『それからのことはあまり覚えていない。東の空がただただ明るく見えて虫のようにそちらへ吸い寄せられていった。最後の方は這いずりながら、気づけば前哨基地近くで残務処理に当たっていた東国兵に介抱されていた』 マーサ「(帰り損ねた人達がまだこんなに…)」 ポール「君…婦人軍のマーサさん…だよね？新聞で写真を見たことあるよ。婦人軍は全滅したって聞いたけどよかったよ、生き残りがいて」 マーサ「……コボ…」 ポール「大丈夫？水飲む？ほら元気出して。戦争が変わったんだよ。故郷に帰れるんだよ」 兵士「勝ちでなく負けでねぇ。何の意味があったんだ、オレたちの戦いはよう…」 ポール「何言ってるんだ！みんな戦ったからこそ銃後の命が守られたんじゃないか。バーリントなんかついぞ無傷で終戦を迎えられたんだぞ。みんなのおかげだ」 マーサ「…そうだね、君の言う通りだ。ありがとう」 ポール「オレ、ポール！バーリント出身」 マーサ「私もバーリント」 ポール「マジで！？」 『誰もが望んでいた終戦なのに各々が各々の落とし所を見つけないと心が壊れてしまいそうだった。それから長い間、車に揺られ国境を越えたところで列車に乗り換えた。“生きて帰れる” その安堵感が張りつめていた気力を根こそぎ奪っていった』 ポール「ほらマーサちゃん、お水。ねぇマーサちゃん、バーリントに戻ったらオレたち結婚しない？」 マーサ「し…しない！」 ポール「既婚者だった？」 マーサ「ちがう！私には心に決めた人がいるの」 ポール「…そっか、じゃあなおさら元気になって帰らないと」 マーサ「(帰ったら何を伝えよう…)」 『それから列車は数週間かけて各都市で人々を降ろし、やがてバーリントへとたどり着いた』 「バーリントだ！帰ってきた！」 マーサ「着いた…？起きてポール！バーリントだって！ポール…？」 兵士「昨日の夜にはもう冷たかったよ。故郷までもたなかったか…他にも何人か逝っちまってる。列車から降ろしてやんねぇと…」 マーサ「…そんな…そんなのないよ…」 兵士「ほら、お嬢ちゃんも早く降りな。帰ってきたんだ」 『命辛々母国の地を踏みしめ…』
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