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FRIEREN | |||
原作(Original Story): 山田鐘人×アベツカサ 葬送のフリーレン 第97話ネタバレ | |||
葬送のフリーレン 第97話 | |||
サブタイトル | 観測 | ||
配信日 | 2022年7月27日 | ||
サンデー | 2022年35号 | ||
単行本 | 10巻 | ||
登場人物 | フリーレン フェルン シュタルク ヒンメル ハイター アイゼン デンケン マハト ソリテール アウラ | ||
第97話 観測『花を摘むように言葉を紡ぎ、踊り舞うように刃を向ける』 ソリテール「私は昔から人と話をするのが大好きで、沢山の人達から色々な話を聞いたわ。好きな食べ物とか、どんな境遇で育ったのかとか、お仕事はなんなのかとか。あと、家族の話とかも興味深かかったわね。魔族には存在しない概念だから。そして将来の夢と、死に際の最後の言葉。会話から人類の習慣や文化、魔法技術を探究するのが私の研究テーマなの。どう?面白いでしょ?」 シュタルク「話が長ぇんだよ」 ソリテール「へぇ…やっぱり動けなくなるまで甚振らないと駄目か」 ソリテール「ん?(今のはなんだ?私の防御のタイミングは完璧だったはず)」 ソリテール「なるほど。純粋に速いんだ。ただの人を殺す魔法(ゾルトラーク)ではないわね。その魔法何?」 フェルン「(ほとんど負傷していない…すべて直撃したはずなのに…そうか…膨大な魔力に阻まれたんだ…魔法も技術も、培ってきた鍛錬も、強大な魔力の前で理不尽にねじ伏せられる。人間と魔族の生きた年月の差、決して越えることのできない生物としての壁)」 ソリテール「速射に特化した人を殺す魔法の改良型か。これほどの速度の魔法は生まれて初めて見た。ありがとう。私にこんな素敵な魔法を見せてくれて。お礼に私の得意な魔法も教えてあげる」 ソリテール「魔力をぶつける。ただそれだけの単純な魔法。大丈夫。まだ殺したりはしないから。いっぱいお話ししましょう」 フェルン「やっぱり魔力の密度を上げれば攻撃が通る」 ソリテール「(速度を失わずに密度だけを上げるだなんてそう簡単にできる芸当じゃない。それによく観察している。これほど危機的な状況なのに私の隙を的確に突いた。そして、今の一撃が少しでもずれていたら)」 フェルン「次は心臓」 シュタルク「援護するぜ」 ソリテール「君達、本当に面白いね」 ソリテール「…いいところだったのに」 マハト「私が魔法を使う瞬間がわかるというのであれば、万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)を使い続けるまでのこと。デンケン様。ここから先は持久戦です。後何秒戦えますか?少なくとも私は呪い返しの魔法(ミステイルジーラ)を相殺しながらでも、三日三晩は戦えます」 デンケン「…まずいな」 マハト「範囲外に出るおつもりですか?無駄な行為です。貴方が逃げる速度よりも、黄金が広がる速度のほうが速い」 デンケン「(違う…!フリーレンを助けなければ…!彼女が黄金に変えられたら終わりだ…それに何より儂がフリーレン達を巻きこんでしまったんだ。後12秒…最大速度ならぎりぎり間に合う。負け戦に等しいこの戦いに)」 ソリテール「逃げるくらいなら、せめて死に際の言葉を聞かせて」 ソリテール「…わざと呪い返しの魔法を解いて、体を黄金に変えて私の剣を防いだのか。君もまた優秀な魔法使いだったのね」 デンケン「(…すまない…三人共…せめて未来に…)」 マハト「終わりだな。次に行こう」 ソリテール「つまらなそうだ」 マハト「つまらないのはいつものことだ」 ソリテール「…………」 マハト「どうしたソリテール」 ソリテール「一つ面白い話をしてもいい?つい最近、七崩賢断頭台のアウラがフリーレンに討たれた。私は残留魔力からその戦闘の痕跡を調べたの。興味深い点はいくつもあったけれども、ある一点を除けば些細なこと。驚くべきことにフリーレンは不死の軍勢に掛けられた服従させる魔法(アゼリューゼ)の解除に成功していた。アウラは80年以上前にも勇者一行と戦っていて、そのときにフリーレンに魔法を見られている」 マハト「信じ難い話だ。七崩賢の魔法だぞ。フリーレンはそのときの情報を元に服従させる魔法の原理を解明したということか?」 ソリテール「いいえ。恐らくは違う。七崩賢の魔法は人知も人の理も超える。それは紛れもない事実。身体や脳の構造などの生物的な違いから、人類には決して扱えない魔法。それが七崩賢の魔法。でも魔法の原理がわからないからといって、決して解除ができないというわけではない。本来起こった事象の対処法なんてものは、いくらだってあるはず。過程が分からなくとも、原理かが分からなくとも、対処することだけはできる。人類は浮力の原理を解明する前から船を作り、風が起こる原理もわからないまま帆で船を操り、波が起こる原理も理解しないまま堤防を築き上げた。人類は古来より未知を未知のまま扱う能力を持っている。そしてそれは、最も原始的で論理的な行為の積み重ねによって産み出される。観測だよ」 マハト「フリーレンは俺の記憶を解析していた。この百年で俺は何度万物を黄金に変える魔法を使った?」 ソリテール「ね。面白いでしょ。きっとまだこの戦いは終わっていない。相手は葬送のフリーレンだ」 フリーレン《無駄だよヒンメル。七崩賢不死なるベーゼの結界魔法は人類では決して破れない。私達の冒険はここで終わりなんだよ》 ヒンメル《フリーレン。魔法はイメージ出来ないことは実現出来ないんだろう?君がここで諦めてどうするんだ」 フリーレン《諦めることと、イメージできないことは同じではないよ。ヒンメルはクルミを握り潰すことはできる?》 ヒンメル《やったことは無いけれども、できると思うよ》 フリーレン《そう。じゃあダイヤモンドは?握り潰せる?》 フリーレン《今できないって思ったでしょ。そして握り潰すことに成功する未来の自分を明確にイメージすることもできない。あまりにも人間離れしすぎているから。それと同じで…》 アイゼン《俺はできるぞ。俺はダイヤモンドを握り潰せる》 フリーレン《そうだね。アイゼンならできると思うよ。でも私はダイヤを握り潰せるような化け物じゃないんだ。ベーゼと私の間にはそれほどの差がある。この結界を打ち破ることは私にはできない》 ヒンメル《だったら僕がイメージさせてやる。この世に不可能はないって》 ヒンメル《ほらフリーレン。ちょっと欠けたぞ。これは決して壊れない物ではない》 アイゼン《俺もやってみるか。ヒビくらいは入るかもしれん》 フリーレン《…わかったよ。全く化け物共め。…どのくらい掛かるかわからないよ》 ハイター《大丈夫です。全員無補給無酸素状態でも生存できる魔法を掛けました。二か月は保つでしょう》 アイゼン《飲んでないと本当に優秀だな》 フリーレン《ここには化け物しかいないのか…》 フリーレン「…記憶の解析が終わった。万物を黄金に変える魔法は、今この瞬間、呪いではなくなった」 『七崩賢・大魔族・魔法使い。ここには化け物しかいない』 | |||
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