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KUSURIYA | |||
原作(Original Story): 日向夏×倉田三ノ路 薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜第73話ネタバレ | |||
薬屋のひとりごと 第73話 | |||
サブタイトル | 楼蘭 | ||
サンデーGX | 2023年10月号 | ||
配信日 | 2023年9月19日 | ||
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 楼蘭/子翠(ロウラン) 翠苓(スイレイ) 子昌(シショウ) 神美(シェンメイ) 大宝(タイホウ) | ||
第73話 楼蘭『五つになる頃には唇に紅を引かれ、十になる前にはおしろいをはたかれた。化粧は仮面。手足には糸がくっついていて、私は操られる人形だった。がんじがらめで窮屈で…でもそれでいいと思ってた。母が笑えば笑い、母が怒っていれば共に眉をひそめた。そうすれば母はこれ以上醜くならない。私が我慢していれば…けどそれは間違いだった。母はどんどん醜くなる。それを止めることは出来ない。“ああ、無駄だな” そう気づいた時には、もう手遅れだった』 楼蘭「薬師が逃げ出して火薬庫が爆発したなんて、母さまに知れたらどれだけ怒られるか。鞭打ちで済めばいい方ね」 猫猫「母親にぶたれるとか、熱湯かけられるって言ってたけど、楼蘭は大切にされているように見えた」 楼蘭「…母さまね、私の顔も覚えてないの。母さまが特にきつく当たってた下女が死んで、その子どもを父さまが引き取ったの。それが翠苓姉さまよ。私は九歳、姉さまは十歳だった。その時、母さまはひどく怒ってた」 神美《引き取る?その娘を?本気で言っているの、あなた。どこまで私を愚弄する気!?大宝は私の侍女でありながら主上の娘を産み、その娘は私の婚約者だった子昌の妻になっていて、そんな売女の血が流れる子どもを引き取るつもり!?》 楼蘭「…おかしいよ。おれだけ綺麗に着飾っているのに泥より汚い言葉がどんどん出てくるんだよ」 猫猫「あ」 神美《いくら高貴な血が流れていても、一度穢された血が混じったらおしまいね》 猫猫「翠苓はもしかして……」 楼蘭「後宮で噂を聞いたことなかった?先帝の犠牲者で、産んだ娘と引き離された女官。後宮に閉じ込められ怪談を集めるのが唯一の楽しみだった人。大宝(タイホウ)という名の女官…それが姉さまのおばあさまなの。姉さまのおばあさまは先帝の娘を産んだと訴えたけど、先帝は認めなかった。そこで当時去勢の必要がなかった医者との不義の子として、医官と共に娘は追放された」 猫猫「追放された娘が、翠苓の母親?」 楼蘭「そう。父さまの妻として迎えられていたけど、母さまが下女にしたの。その時には姉さまも生まれていたのにね」 猫猫「(それで神美にいびり殺されたのか。しかし…まさか、翠苓が先帝の胤(たね)だったとは…先帝も大宝との関係を否定し、子昌もまた表向きは楼蘭しか子がいないことになっているが、血筋だけなら、翠苓は皇族と高官の血が流れていることになる。それで子昌は、反乱を企てたのか…?)」 楼蘭「前に怪談話をしてて皆が窒息しかけたことがあったじゃない?あれって、そのおばあさまの仕業だったのかもね。母さまがひどいことしてきたんだもん。娘の私を連れていきたかったのかも」 猫猫「幽霊なんているか分からないよ」 楼蘭「猫猫らしいね。私、十歳になる頃に姉さまの存在を知って、仲良くなりたいって思ったの。何度も下女の格好して姉さまのとこに行ったんだ。そしたらね…」 神美《何をなまけているの》 楼蘭《お…母さ》 神美《お前もよ。…見ない顔ね。さっさとお茶を持っておいで》 楼蘭(母さま…私に、気付いてないの…?) 楼蘭「母様にとって楼蘭は、綺麗で言うことを聞くお人形。下女の格好になったら、そこにいるのはただの下女なの。だから私だと気付かず折檻するの。母さまが父さまと結婚したのはね、ただ私を作りたかっただけなの。父さまには隠れ里の血が流れていて、それは王母と同じ流れなんだって」 猫猫「(ああ…子翠は狐の面を緑で塗った。子翠もまた、王母と同じ色彩が見えているのかも知れない)」 楼蘭「“お前が新しい王母になればいい” 母さまはずっとそう言ってた」 猫猫「ねぇ」 楼蘭「何?」 猫猫「……(今、目の前にいるのは、子翠なのか、楼蘭なのか。なんと呼ぶのが相応しいのか分からない。でも、私にとって彼女は)…子翠。後宮で堕胎剤が出回っていたの、子翠も持ってた?自分で使うために…」 楼蘭「ふふっ、猫猫は鋭いなあ」 猫猫「(後宮で子翠が話した怪談話。虫の夫婦…妻が夫を食べる話。鈴の音で鳴く虫のことは、前の薬師が遺した資料の中に詳しく書かれていた。観賞用として籠の中で飼うものらしい。だが、秋になるとその虫は共食いをする。雌が雄を喰らうのだ。子を産むために。あれは、自分の話をしていたのか。後宮という籠の中、いずれ子を産み、皇帝を喰らう妃として送り込まれた自分を虫に例えて。でも子翠は抗おうとした。後宮に生えている薬草から作った堕胎剤を使って)」 猫猫「なんだ響迂、寝相悪いな」 楼蘭「…息はないわ」 猫猫「どういう……毒を飲ませたの!?」 楼蘭「薬だよ」 猫猫「…どうして!」 楼蘭「これだけのことをしたんだよ?一族郎党皆殺しになるのは目に見えてる。この子たちも、親が何をしたかなんて分からないまま絞首台に上らされる。甘いジュースに混ぜて飲ませたの。暖かい部屋で、みんなで楽しく、絵巻物を見た後に。母さまと寝たいとぐずった子もいたかな。でもそれは出来ない。この子たちの母さまは、私の母さまと仲良しだったから。響迂が遅れてきたのは、猫猫を助け出そうとしていたからなのね。この子、分かっていたのかも。唇をかみしめて、一気に飲み干したのよ。本当は砦に連れて来たくはなかったんだけど」 猫猫「…子翠。なんで私を砦に連れてきたの。あんな小芝居までして…なんのために?」 | |||
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