薬屋のひとりごと | 第17巻70話『砦の女たち』ネタバレ | サンデーGX

KUSURIYA
原作(Original Story): 日向夏×倉田三ノ路
薬屋のひとりごと 漫画 サンデー 第70話 ネタバレ 感想 壬氏 華瑞月 カズイゲツ The Apothecary Diaries Chapter 70
薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜第70話ネタバレ

薬屋のひとりごと 第70話

サブタイトル砦の女たち
サンデーGX2023年7月号
配信日2023年6月19日
登場人物猫猫(マオマオ)
壬氏/華瑞月(ジンシ/カズイゲツ)
高順(ガオシュン)
楼蘭/子翠(ロウラン/シスイ)
翠苓(スイレイ)
神美(シェンメイ)
響迂(キョウウ)

第70話 砦の女たち

『砦に連れてこられてどれだけ経ったか…五日か、七日か、それ以上か』
見張り「おい、薬師。神美さまがお呼びだ」
猫猫「失礼いたします」
神美「薬はまだなのかしら」
猫猫「(麝香(じゃこう)の香りだけじゃないな…何か混ぜものをしてる…それと、酒の匂い。花街と比べてもただれた雰囲気だ。楼蘭と…翠苓。ここだとまるで主従だな。あんなに仲のいい姉妹なのに)」
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神美「聞いてるの?」
猫猫「…まだ少し時間がかかりそうです」
神美「出ておいき。明日こそ何か成果を出しなさい」
猫猫「…はい (砦に連れてこられて部屋を出されるのは一日のうち一度。神美への報告のためだけだ。やること自体は嫌いじゃいな、前の薬師が遺した資料も薬も大量にある。虜囚のような立場なのは不愉快だが)」
響迂「おい薬師」
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猫猫「なんのご用ですか、響迂さま」
響迂「うわ、何その口調!気持ち悪っ」
猫猫「(ここではいいとこの坊らしいからな。今更だけど一応ね)」
「だれー?」
響迂「新しい薬師だよ。なあ、中に神美さま以外に女の人いなかった?」
猫猫「…いましたね」
響迂「その中に、俺の母さまがいるんだけどなあ、元気そうだった?仕事で忙しいらしいんだよ」
猫猫「…どの方か分からないので、なんとも…」
響迂「そっか…」
猫猫「(とてもじゃないが言える感じじゃないな。混ぜ物の香と酒で靄がかかったようなあの部屋…あの中にいる女がまともな状態とは思えない)」
響迂「仕方ないよな!仕事忙しいんだもんな。やっぱ村で待ってた方がよかったかなあ」
猫猫「…そうですね。では私はこれで」
響迂「あっ…なんでもない」
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猫猫「(前任の薬師が遺した資料を見ると、不老の薬の研究をしていたらしい。蘇りの薬はその過程でよく実験されていたようだ。実際、翠苓はそれで蘇ったんだから無駄ではなかったな。肝心の不老については美容液や体内の浄化といった基本的なことしか書かれていない。そりゃそうだ。万能の薬なんてない。人は衰える、それを止める術はない。しかし神美は一杯飲むだけで十歳若返るような薬を求めている。あるわけないのに。ないとは分かっているけど、それらしい実験はしなきゃいけないし)」
「坊ちゃま、そっちはいけませんと何度言ったら…」
響迂「いいだろ、少しくらい」
猫猫「(響迂か。ちょくちょくこの辺うろついては連れ戻されてるな。まあこの部屋、ネズミいて不衛生だし近づけたくないよな。それに、神美の部屋に向かう途中、何か臭う時がある。家畜の糞や卵の腐ったような臭い。もしかしたら、ここでも何か工房のようなものがあるのかも知れない) もうすっかり一面の雪だ (農閑期に入る頃か。いつだったか、戦は農民が暇な時期に起きると聞いた気がする」
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猫猫「(いくら堅牢な砦でも、結果は見えている。一族挙げて謀反を起こしたとなれば、一族郎党その罪を負わされるだろう。それは、女でも子どもでも赤子でも。主上は私が知る限り慈悲深い方だ。病にかかった妃を気にかけ、顔がただれた妃でも追い出すことはしなかった。しかしそれでも越せない一線がある。以前、里樹妃の暗殺未遂を企てた風明は絞首刑の上、親類は肉刑に処された。それは主上の質というより、皇帝としての権力を維持するために必要な処置だった。村からここに連れてこられるとき、一緒に行くといった響迂に、翠苓は渋い顔をしていた。本当は村に留めておきたかったのかもしれない。ここにいる子どもたちは、知っているのだろうか。大人たちは教えたのだろうか。他人事だと割り切ってしまえばいいのに)」
猫猫「ん?」
『逃げろ。見張りはおびき寄せる』
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猫猫「(響迂か?いや…逃げろって、どこに行けっていうだ。あいつなりに気を遣ってるのか?)」
響迂「放せーっ!放せよーっ!」
見張り「おい薬師!何をしようとした!?」
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猫猫「……(私は何も…と言っても無駄なんだろうなあ)」
翠苓「さて、どういうつもりだ?お前、お前が仕向けたのか?ここから逃げるよう」
猫猫「なんのことでしょう」
響迂「俺はいつも通り遊んでただけだよ!見張りがサボってないか見てたんだよ」
翠苓「そういうことでいいんだな?」
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翠苓「分かった、今後怪しい真似はするなよ」
響迂「うん!」
見張り「翠苓さん、いいんですか?」
翠苓「本人がそう言ってる」
見張り「じゃあ俺の勘違いってことですか!」
翠苓「釘は刺した。これ以上騒ぎにするな…分かるだろ」
見張り「分かりました」
猫猫「(これでおしまい)」
神美「あら。何の騒ぎかしら」
響迂「あっ、お母さー」
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翠苓「大したことではありません、神美さま」
神美「そうなの?なぜ薬師が外に出ているのか気になるのだけど」
翠苓「響迂が部屋の前で遊んで見張りの邪魔を…念のため薬師にも話を聞いていただけです」
神美「悪いことをしたの?だめよぉ、悪いことしたら。躾をしないといけないわ。おしりをすこうしぶった方がいいかしら?」
翠苓「シェ、神美さま!」
神美「何?」
翠苓「…っ響迂はまだ子どもです…それに大したことは…何も…」
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響迂「母さま…!」
神美「ということは、大したことないのに騒いだ者がいるのね?」
見張り「そんな、そんなわけっ…」
神美「でもそういうことにならない?とりあえず水牢で反省してもらおうかしら」
見張り「そんなっ…お許しください!」
猫猫「(理不尽だ。理由なんてどうでもいい。ただ相手を苦しめるのが愉しいだけなんだ。苛々する) くそばばあ…」
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猫猫「(うん、莫迦だな。他人事だと割り切ればいいのに) 私が、その子どもに逃がしてくれと頼みました」
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