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KUSURIYA | |||
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第76話ネタバレ | |||
薬屋のひとりごと 第76話 | |||
サブタイトル | 祭り(後編) | ||
ビッグガンガン | 2024年 Vol.11 | ||
配信日 | 2024年10月25日 | ||
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 子翠(シスイ) 翠苓(スイレイ) 響迂(キョウウ) | ||
第76話 祭り(後編)『隠里での祭りの晩に…』 猫猫「(この音、虫が松明に飛び込んでいるのか、それとも何匹も)」 子翠「今年は飛蝗が多いみたい。だから今年の祭りは盛大なんだ。知ってる?ここに祀られている神さまが狐で、豊穣の神である理由」 猫猫「知らない」 子翠「昔ね、この地方は一つの民族が住んでいたの。でも西から別の民がやってきたんだ。ほとんどの村人はよそ者を追い出そうとしたけど、一部の人は彼らを受け入れた。彼らの持つ畑を豊かにする知識や害虫を駆除する知識の価値をわかる人がいたんだね。でも西の民と現地の者の間に子ができた頃、快く思わなかった近隣の者が畑を奪いにきた。そんなことが何度もあって、子孫たちが誰にも奪われないように見つからないように泉が湧く地に作ったのがこの里なの」 『そして神である狐はこの地にやって来た西の民を指すのだろう。他民族を獣の名で呼ぶことは珍しくない。狐に見立てた祭りの仮装は村民たち自身が狐神の子孫であるということか』 子翠「ここに来た狐は白い狐だから、お面も最初は真っ白なんだ。でも定住することでこの地に染まるようになる。ここの村の男の人はね、色の見分けがつかない人が多いんだよ。女の人もごくたまに」 猫猫「だから緑の眦が多かったんだ」 子翠「うん」 猫猫「(どこかで聞き覚えがある話だ。色の見分けがつきにくい民の気の遠くなるような乗っ取りの話。きっと西から逃れて来た民の中で今の都へと移った者たちが今の帝の祖先で、北の大地に根付いたのがこの里の祖先なのだろう)」 猫猫「それ美味しくないし死にはしないけど毒があるよ」 子翠「知ってる」 猫猫「(堕胎剤の原料にもなるような鬼灯を毒と知った上で食べるとは……食べ物の匂いだ。社の周りには露店が出ているのか)」 子翠「ぺっ」 猫猫「汚い」 子翠「ごめーん」 子翠「串焼きでも食べよっか。この時期の蝗はぷっくりして美味しいよ」 猫猫「私は鶏肉で」 子翠「蛙は?」 猫猫「……蛙はしばらく食べたくない」 子翠「猫猫、何遠い目してるの?」 猫猫「(面を付けててもわかるのか)」 子翠「じゃあ蝗と鶏一本ずつで」 猫猫「(薄味だが香草が効いてる) どうした?」 猫猫「だから汚いって」 子翠「最悪、飛蝗が混じってた」 猫猫「どれも同じに見えるんだけど」 子翠「違うよ。足と翅むしってるけど味が全然違うの。あの露店まともな商売してないね」 猫猫「(花街では虫害が多い年に農民が蝗を売りに来るぐらいだったが、農村では害虫駆除を兼ねて虫を食べるのが日常なんだろう。森の向こうの平原には街があるのか?)」 子翠「猫猫ほら。面を奉納する列の先に座ってるの」 猫猫「(あの面は)」 子翠「毎年、子どもが選ばれて、ああやって神さまの代わりをするんだけど、今年は響迂も参加してるんだ」 猫猫「(あの餓鬼、意外にも筆遣いが繊細で立派な面を作ってたんだよな) よく大人しく座ってられるわね」 子翠「皆やりたがるから時間交代でね、何人かいて足がしびれる前に入れ代わるの。それでもいい思い出になるかな。もうすぐ終わりそうだから面を置いたら社の裏で待っとこうか」 子翠「どしたの?」 子供「これ見て。すかすかで青いの。はずれだよ」 子翠「よく見て選ばないから。実った稲穂は祭り用には勿体無いってけちる人もいるからさ」 子供「でも里長から貰ったんだよ?」 子供「あーそれは駄目だ。里長の田んぼ、毎年育ちが遅いとこがあんだよ。けちだからそこからしか出さないの」 子供「なんだよそれ…狐に呪われるぞ」 子供「みんな知ってるよ。おまえは新参だから勉強だと思ってあきらめろ」 猫猫「はいこれ」 子供「いいの?」 猫猫「いいよ。別に信心深くもないし」 響迂「ねえちゃんどうだった?」 子翠「うん、いい出来だった」 猫猫「(大人しく座ってるだけで何がいい出来なのか)」 響迂「母さま見てくれてたらいいのに」 子翠「はいはい早く奉納してきたな。櫓(やぐら)の火見るでしょ?」 響迂「うんっ」 猫猫「櫓って?」 子翠「反対の階段降りたところに池があるんだけど、そこに筏を浮かべて櫓を建てて、一年間奉納した面を櫓と一緒に燃やすの。水面に落ちずに最後まで面が燃え尽きて天に昇ったら、面に書いた願いが成就するって言われてるわ」 猫猫「願いなんて書いてないよ」 子翠「猫猫はそんな迷信信じるの?」 猫猫「それもそうだ (願掛けするくらいなら目的に向かって行動した方が早い)」 響迂「迷信じゃねぇよ!絶対叶うんだ。去年もちゃんとお面に綺麗な絵を描いて丁寧に願い事書いたんだ。叶わないわけないだろ」 猫猫「何願った?」 響迂「言うわけないだろ」 猫猫「ならいい」 響迂「何っ」 子翠「ほらほら二人とも、早く降りないと火がついちゃうよ」 猫猫「(あれが櫓か)」 子翠「あっ、火が来るよ」 猫猫「(面がさっきの子供だ)」 子翠「響迂やりたかったんじゃないの?」 響迂「俺は子どもじゃねぇからあんなの他の奴らに渡してやるよ」 猫猫「火矢で櫓に火をつけるのか」 子翠「不思議だよね。櫓は燃えるのに筏はなかなか燃えないんだよ」 猫猫「下に水があるからね (こんなに離れていては自分の面がどれかなんてわからない)」 子翠「綺麗に煙となって天へと届く面なんて半分もないだろう。叶わない願いは底に沈み、恵みの糧となる。虫は冬を越せない。ただその子を残すのみ」 猫猫「(どういう意味だろう)」 子翠「あ、帰ってきたんだ」 翠苓「夜食は?」 子翠「あるなら食べる」 翠苓「持ってくる」 猫猫「(油条と豆乳か。豆乳のくさみを消すのに生姜と蜂蜜が入っている。薬の本かと思いきや手書きの虫図鑑を読んでいるのか)」 翠苓「なんだ?」 猫猫「いえ、そろそろ約束を果たしてもらおうかと思いまして」 翠苓「お前は人質なんだぞ」 猫猫「そんなことより蘇りの薬です!曼荼羅華と河豚の割合はどのくらいですか?他に入れるものは?蘇った後の状態は?すぐには動き出せないですよね?」 翠苓「……あれは元は人工的に奴隷を作る際に意識をなくすための薬らしい。だから昏睡を長引かせる曼荼羅華はいらないと思う。私はこの程度で済んだが、失敗すれば記憶さえ失う」 猫猫「(失う、ということは失った被験者がいるのか。薬を作るには代償が必要で、そこに人体実験が含まれるのは重々承知だ。でもそれ以上に好奇心が抑えられない) では改良を加えたものは?もう試したのですか!?」 翠苓「まだ動物でしか試していない」 猫猫「(なら…!)」 翠苓「お前では試さない」 猫猫「どうしてですか!?遠慮せずに」 翠苓「人質だと言ったろう」 猫猫「それならもう少し束縛なりすべきと思いますが」 子翠「ふふっ、仲良くなって良かったあ。お姉ちゃんも猫猫も友だち少ないもんね」 猫猫・翠苓「うるさい。黙って」 子翠「あはははははは」 『思わず声が重なって…』 ≫関連記事:薬屋のひとりごと サンデーGX最新話薬屋のひとりごと14巻 最新刊情報まとめ | |||
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