文スト探偵社設立秘話 | 第1話『銀狼と少年』ネタバレ(ヤングエース新連載) | Bungo Stray Dogs

BUNGO STRAY DOGS
原作(Original Story): 朝霧カフカ×安達知里
文スト探偵社設立秘話 1話 ネタバレ 感想 福沢諭吉 江戸川乱歩 ヤングエース 文豪ストレイドッグス 漫画 Bungo Stray Dogs Chapter 1
文豪ストレイドッグス 探偵社設立秘話第1話ネタバレ

文豪ストレイドッグス 探偵社設立秘話 第1話

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サブタイトル銀狼と少年
配信日2025年3月4日
ヤングエース2025年4号
アニメ第4期38話
登場人物江戸川乱歩
福沢諭吉
織田作之助
社長の秘書

第1話 銀狼と少年

《武装探偵社》の始まりの物語。孤高の男が出会ったのは、天真爛漫な一人の少年だった。

『その頃、横浜におそろしく腕の立つ用心棒があるとの噂があった。刀を持たせれば百名の悪漢を斬り伏せ、槍を持たせれば一個軍勢と渡り合う。居合、俰を修め武芸百般。休日には書物と囲碁盤を供として教養も高い。仕事ぶりは冷静沈着。狼のような冷静さで確実に依頼人を守り抜く。欠点を敢えて挙げるなら、決して誰とも組まず護衛をこなし、誰にも心を許さぬこと。すなわち、一匹狼である。男の名は福沢諭吉。この短い物語はその福沢の苦闘の記録であり、成長の記録であり、子育ての記録である』
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『福沢は用心棒である。殺されたのは常時契約の顧客。数日前から護衛を約束していた、さる企業の女社長だった。聞くところによると、女社長は今朝早く自社ビルから突き飛ばされたのだという。社長室の窓から殺し屋の手で』
福沢諭吉「(既に証拠は挙がっていて殺し屋も拘束されているとのことだが…)」
『仕事以外で話したことはなかった。警護の対象について人間的なところは何も知らず、また興味もなかった。ただ一度、“専属のガードマンにならないか”との勧誘を受けたことがあった』
福沢諭吉「(即座に断ったが…組織に属し同僚や部下を持つことは嫌いだ。仕事以上の付き合いは極力避けるように生きてきた。しかし専属として社長の許に常駐していればあるいは結末はまた変わっていたかもしれない)」
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社長秘書「ご足労頂いて済みません」
『S・K商事 社長秘書』
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福沢諭吉「何をしている?」
秘書「書類をね、整理しているんです。ここにある書類は私しか把握していませんから」
福沢諭吉「(殺人現場で主君たる女社長が殺されたその日に書類業務というのが不敬なのか、勤勉なのか、俺には判断しかねるが…兎も角、凶事の直後) お悔やみ申し上げる。惜しい人を亡くした。ここの窓から突き落とされたと聞いたが…」
秘書「ええ…職業的暗殺者です。社長は前職にあった私を引き抜いて秘書にして下さり、ここまで育てて頂いた師であり、主君でした。凶行の真相を暴き、正義を白日のもとにさらすことが何よりの餞と考えています。殺し屋は既に捕まっています。社長を殺害後、逃亡時に一階の警備員に取り押さえられました。鑑識に人相を送ったところ、社員の服の背中から検出された十本の指紋はデータベース上、犯人のものと同じだったそうで、現在は隣室に捕縛されています」
福沢諭吉「何だと?まだ隣室に居るのか?」
秘書「諦めたらしく大変大人しいですよ。眠っているかのようです」
福沢諭吉「(まだあそこに?横浜の殺し屋は他の都市のそれとは危険度の桁が違う。異能者の可能性がある。この世にはわずかながら超常の力を振るうものが存在する)」
『日常生活を送るうえで異能者と接することはまずありえないし、ほとんどの市民は異能者を都市伝説程度しか認識していない。だが、用心棒として要人警護にあたる福沢には異能者、異能犯罪は馴染みの存在だった』
福沢諭吉「(俺は異能者ではない。暗殺を旨とする殺し屋と相対し、武術だけで無傷で勝ちおおせるかどうかは勝負の流れ次第…殺し屋がもし異能者であれば、縄で縛りつけたくらいでは無力化したことにならない。隣室に高性能爆弾を置いてあるようなものだ) その…殺し屋の様子を見たいのだが…」
秘書「もちろん、どうぞ」
福沢諭吉「(どうぞ…と云うが…) どかしても構わんか?」
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秘書「触れないで!ここにあるのは社運を左右する超重要書類たちなのですから紛失はおろか、掠れひとつあっては後々どんな瑕疵となって会社に禍をなすか判りません!触れず!ずらさず!巧みに避けて移動してください」
福沢諭吉「一応訊くが、何故書類を部屋一面に並べている?」
秘書「殺し屋の目的がこれらの重要書類の盗掠、もしくは破壊ではないかと私は踏んでいるので。ですからこうしてチェックを」
福沢諭吉「成る程」
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福沢諭吉「(室内に入った時、ほんのわずかに首が微動した。つまり眠っている訳ではない。持ち物であろう道具一式)」
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沢諭吉「(万年筆…インクは切れていない。相変わらず身じろぎひとつしない。通常、ただ座るだけの人間は何かしら微動するものだ。この男はそれすら…)」
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福沢諭吉「案ずるな。ただの万年筆だ」
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福沢諭吉「(やはり暗殺者。外界が見えていない。もし外が見えているなら、万年筆を使った居合を床に転がってまで避けはしない。だが先程、壁を間近で叩いた時は、毛ほどの緊張も見せなかった。先と今の違いは何か。この殺し屋は殺気を読んだのだ。万年筆の居合抜きには敢えて殺気を乗せた。それを感じ、斬撃を回避すべく殺し屋は身を投げたのだ。無数の修羅場を潜っていなければ今の反応はできない。並の殺し屋ではない)」
江戸川乱歩「たのもう!」
福沢諭吉「(少年?年齢は十四、五ほどだろうか…)」
江戸川乱歩「いや今日は莫迦みたいに風が強いね。この様子じゃあ二丁目の桶屋は大儲けだよ!」
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江戸川乱歩「それはいいんだけど、この会社の立地ほんとどうにかならないかなあ。海が近くて潮くさいし、坂道はメンドくさいし、道は憶えにくいし、ホントここの社長はどうかしてるよね!これだから横浜なんて住むところじゃないよ。あ、でも途中で逢ったカモメは気持ち悪くてよかったね。思わず弁当の握り飯をひとつあげちゃったよ。あんまり気持ち悪かったから」
秘書「は?」
江戸川乱歩「は?じゃなくてカモメだよカモメ。知らない?あの羽のある怪物。カモメって前世でよっぽと非道いことしたんだろうね。だって、あいつの目よーく見たら結構狂気を宿してるもんね。ところで話は変わるけど、カモメにあげちゃった握り飯いっこぶんお腹減ったんだけど何かない?」
秘書「はい?」
福沢諭吉「(この少年は何者だ?なんとなく厄介事の気配がするが)」
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江戸川乱歩「ふぅん…大変そうだね。まあ僕には関係ないや。兎に角、例の紙くれない?ああこの中?探すの?面倒くさいなあ。だったら秘書さんの暇潰しのついでに見つけてよ。僕は別にこの部屋の指紋なんて毛ほども興味ないからさ」
福沢諭吉「(暇潰し?指紋?この少年、次々に目まぐるしくところどころ意味の判らないことを云う)」
江戸川乱歩「よっ」
秘書「うわあーっ!待って待って待ちなさーい!その契約を締結するのに何年掛ったかっ!知っているのですか君は!」
江戸川乱歩「知らない」
秘書「うわァーっ!」
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江戸川乱歩「やればできるじゃない」
秘書「君は…何なのですか!凶事の後であろうとなかろうとここは社長室!関係者以外の立ち入りは禁止です!」
江戸川乱歩「それは知ってる。でも僕関係者だから。今日面接だって聞いてきたから。僕見たら判るでしょ、そのくらい」
秘書「は…はぁ…君は面接希望者ですか。確かに少し前に社長が事務見習いの面接を行うと云っていた気が…」
福沢諭吉「(事務見習い…この破壊的に人の話を聞かない少年が?)」
江戸川乱歩「はあーこんなに散らかしちゃって…いくら部屋を調べられたくないからって…ほんと大人って不可解だよ。世の中は不可解に満ちている!」
秘書「今我が社は面接どころではありません。社長が殺し屋の凶手に斃れたのです。従って面接は中止!」
江戸川乱歩「僕が来たのは面接の活動認定書を貰うためだよ。この中にたぶんあるんじゃないかなと思うんだけど。面倒だなあ。ねえ秘書さん、この無意味な書類ぺっぺと退けちゃっていい?」
秘書「駄目です。この並べ方そのものが犯人の狙いを看破するための重要な方法論」
江戸川乱歩「へぇ~」
秘書「やめなさい君ーッ!並べるのに五時間掛ったのにですよ!」
江戸川乱歩「いやだって僕も僕の書類を探したいし」
秘書「ならば黙って階下で待っていなさい!後でちゃんと探してあげますから」
江戸川乱歩「またそうやって見え透いた嘘をつく。いいよ。自分で見つけるから。どうせ一瞬だもの」
福沢諭吉「(一瞬?この中から目当ての一枚をどうやって一瞬で発見するというのだ) 少年、この中からどうやって一枚きりの書面を見つける?」
江戸川乱歩「なんだ、おじさん喋れるんだ」
福沢諭吉「(おじさん…)」
江戸川乱歩「僕の探している書類は印紙つきの政府証明書類で材質が違うから普通の書類より厚みがあるんだよ」
江戸川乱歩「お祭りだ!」
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秘書「うおおおおおおお!?なななななな何をするのです!」
江戸川乱歩「あったあった」
福沢諭吉「(何故あの一枚だけ靡いていない。厚みの重さから他の書類に較べ動きが鈍かったのか…そのために窓を…!)」
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秘書「なにが“あったあった”ですか!また調べなおし…」
江戸川乱歩「いいじゃん。どうせ書類なんてなくなってないんだし」
秘書「は?」
江戸川乱歩「だって、書類は盗まれてないし、そもそも殺し屋は社長さんを殺してないし…ていうか殺したのはあなただでょう、秘書さん」
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