薬屋のひとりごと | 第88話『火鼠の皮衣』ネタバレ | サンデーGX最新話

KUSURIYA
原作(Original Story): 日向夏×倉田三ノ路
薬屋のひとりごと 漫画 サンデー センターカラー 第88話 猫猫 ネタバレ 感想 The Apothecary Diaries Chapter 88
薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜第88話ネタバレ
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薬屋のひとりごと 第88話

サブタイトル火鼠の皮衣
サンデーGX2025年5月号
配信日2025年4月18日
登場人物猫猫(マオマオ)
趙迂(チョウウ)
壬氏(ジンシ)
神美(シェンメイ)
特使

第88話 火鼠の皮衣

「これはねぇ、天女が織った衣なのさ。泉に消えた、美しい天女の」
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猫猫「(何が天女だか、実物をこっちは見てる。世の中、不思議なことはいろいろある…が、それに何かしら種があるものだ)」
『緑青館』
『薬屋は緑青館の閉店と共に閉店だ。客もこないし、灯りの油代ももったいない』
猫猫「婆、これ売り上げ。管理よろしく」
やり手婆「あいよ」
猫猫「帰るぞ趙迂」
趙迂「えーもうかよー」
『家に帰って』
趙迂「うう~肉増やせよぉ」
猫猫「だったら稼いで来い」
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『趙迂の養育費は十分もらっている…が、無駄遣いする気はない。困ったときに使えればいい。普段は“働かざる者、食うべからず”だ』
趙迂「そばかすー、お前結構稼いでるんだからもっといいもん食ったらどうだー?」
猫猫「ばか、あの婆から店借りてんだぞ。家賃いくらすると思ってんだ」
趙迂「じゃあ別の場所に移動しろよー」
猫猫「あのなあ…やっていくにもいろいろあんだよ」
趙迂「ちぇ、緑青館は隙間風も入らなくて暖かいのによー」
猫猫「…明日、着物買いに行くか。それだけじゃ寒いだろ」
趙迂「いいの?やった!」
『翌日』
猫猫「ほれ、ここだ」
趙迂「えー古着かよー」
猫猫「贅沢言うな。子ども用の綿入れは…」
趙迂「なー、なんだあれ!」
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猫猫「(これは…どこか異国風だな。上下とも白いままでなんだか)」
趙迂「なんだかみすぼらしいな」
店主「おや。それがみすぼらしいって?」
趙迂「だってそうだろ。真っ白で刺繍も袖にちょろっとしかない。娘衣装ならもっと華やかな色を使うもんだろ」
店主「普通ならそうだろうね。これはねぇ、天女が織った衣なのさ。泉に消えた美しい天女の」
趙迂「へーっ」
店主「伝説を知りたいか?」
趙迂「うん」
猫猫「(何が天女だか、こっちは実物を見てる。今のうちに物色しとこ)」
店主「西方のとある村の話だ。村人が道に迷った娘を助けた。娘は美しく、白い肌と金色の髪をもっていた。村人は娘に一目ぼれした。娘は衣を織り、助けてくれた村人に恩返しした。不思議な文様が刺繍されたその衣は他の織物の何倍もの値で売れた。しかしやがて娘は故郷に帰りたいと泣くようになった。しかしどこからどうやって来たのかも分からない。村人は娘に何度も求婚し、娘もとうとう受け入れることにした。しかしそんな時、娘の家族が娘を探して村を訪れた。しかしようやく求婚を受け入れてくれた娘を渡したくない。そう考えた村人は娘を隠し、村人総出で知らぬ存ぜぬを通した。娘の家族は一度は引き上げたが、怪しんでいるようだった。そこで村人はさっさと娘を嫁にすることにした。娘は拒むが、村人は聞く耳をもたない。観念した娘は村人に頼んだ」
《村の泉で身を清めさせてください。そしてせめて花嫁衣装は私が作った故郷のものを》
店主「花嫁衣装をまとっても娘は泣き続け、衣を濡らした。そして再び家族のもとに帰りたいと懇願した。だめというなら…そう言って娘は油をかぶり」
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店主「泉の中に娘はおらず、娘がかぶっていたヴェールだけが残った。娘は天に帰った…そう村人たちは思ったそうだ。この衣はそんな娘が織ったものなんだ」
趙迂「へええ…!なあそばかす!これすごいすごい!」
猫猫「はいはい」
店主「おいおい、天女の伝説が信じられないのか?浪漫がないねえ」
猫猫「(水に消えた天女ねえ。私が見た天女は濡れ鼠になって二度とやるかと怒ってたな)」
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猫猫「それちょっと触っていい?」
店主「ああ、今ならこの値段にしとくよ」
猫猫「たっか」
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猫猫「なあ老板。これ十倍の値段で売れたらどうする?」
店主「十倍?はは、そうなったら今持ってる服、ただにしてやるよ」
猫猫「聞いたな?趙迂」
趙迂「十倍って…そんな高くなるもんかよ、そばかす」
猫猫「老板、ちょっとこの衣と炭借りるよ」
店主「えっ…おい!何をする!やめんか!やめろ!燃やす気か!大事な売り物を…え…燃え…ない?どうなってんだ?嬢ちゃん、これはどういう…」
猫猫「老板、自分で言ってたじゃないか。これは天女が織った衣だって」
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猫猫「あら不思議!炭を乗せても燃えるどころか焦げもしない!」
店主「そ、そう!この衣こそ…天女が織った“火鼠の皮衣”!」
「すごいな!もっとよく見せてくれよ!」
「いくらだ?」
趙迂「そばかすー…あついー」
猫猫「面倒だから全部着ていくって言ったのはお前だろ。いやなら脱げ」
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趙迂「なあそばかす。なんであの衣は燃えなかったんだ?」
猫猫「趙迂。着物がなんで出来てるか知ってるか?」
趙迂「?綿とか麻とか?だいたい草や木から出来てるってきいたことがあるぞ。あと虫とか」
猫猫「そう。でもさっきのは石でできてるんだ」
趙迂「石ぃ!?石ってあの硬い石ころのことか?そんなんで衣が出来るかよう」
猫猫「石にもいろんな形がある。繊維状の石とかな。珍しいけど古い時代からあるものだよ。石綿で織った布を火浣布(かかんぶ)といい、東の島国では“火鼠の皮衣”という。多くは火浣布を知らないが、知っていたとしても初めて目にする人がほとんどだと思う。だから十倍の値でも売れるし、ただで古着ももらえたってわけ」
趙迂「はえ~じゃあ天女の話は?」
猫猫「あれは半分嘘で半分本当ってとこかな。あの袖の文様、見覚えがある。おやじが書いてた西方の文字を崩したものだ。天女と呼ばれた娘はおそらく西方の出身なんだろう。本当に迷ったのか、さらわれてきたのかは分からないけど、娘は故郷に帰りたい一心で衣を作り刺繍をした。村人にわからないよう文字を文様にして」
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趙迂「だから家族が助けるために迎えに来たのか!」
猫猫「そう。そして婚礼の日、娘は泉で身を清めると言って下着を濡らし、その上から石綿の衣をまとった。知ってるか?木の器を水に浸しておくと、乾きるまで燃えない。それと同じ要領だ。さらに上に燃えやすい布をまとえば派手に燃えてもすぐに身体に達しない。やけどに至る前に泉に飛び込めばいい」
趙迂「でもそのままじゃすぐ村人に…」
猫猫「そのあたりの計画も刺繍にして家族に伝えてあったんだろ。上手く計画が成功したってわけだ」
趙迂「それ、なんで店のおいちゃんに言わなかった?」
猫猫「浪漫が大事なんだろ?」
趙迂「なんだよそれ」
猫猫「(…西方の娘、か。ごく普通の娘が刺繡で伝達したり、身体に火をつけて走り回るなんて出来るだろうか。文字の読み書きも出来、石綿の知識もある。そんな娘が異国の地をうろうろするなんて…西方は他国との小競り合いが多い地域だ。思えば怪しい動きは茘(リー)にだってあった。よく似た二人の特使…あの二人も特使としてやってきた時、鏡を使って館を抜け出し、子一族の乱とも関わりがありそうだった。その娘も間者か何かだったのかも…なんてね)」
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『ロマンの裏に渦巻く政の闇。それは今も?』
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