朝雛タクト「父さん!父さん!」
ザーガン「音楽は人の心を照らす光。かつてマエストロ・朝雛が言われた言葉です」
ザーガン「人々を励まし希望を与え人生に豊かさをもたらしてくれる音楽をこの世界から奪わせてはならないと」
ザーガン「それは気高く美しい理想でありました。D2はその理想を無残にも引き裂いたのです!」
ザーガン「我々は彼の志を忘れないと同時に、その死を教訓とせねばなりません」
ザーガン「音楽にはD2を打ち砕く輝かしい力がある。ですが!破滅をもたらす諸刃の剣とも成り得る。今その力を正しく扱えるのは我らシンフォニカが作り上げたムジカートのみです」
ザーガン「国民の皆さん。今しばらくD2の脅威が消え去るその日までは音楽を謹んでいただきたい」
ザーガン「二度とこのような悲劇を繰り返さないために!」
ザーガン「音楽は今の世界にとってはあまりにも強すぎる毒なのです」
コゼット「おっはよ~タクト!」
コゼット「盛り上がってるとこ悪いけど、今週も掃除の時間がやってまいりました」
朝雛タクト「頼んでない。さっさと帰れ」
コゼット「うわっ!また~毎度毎度たった1週間でどうしてこうなっちゃうの?先週私があんなにきれいに片づけたのに」
朝雛タクト「生活するうえでのすべての機能を集約した結果だ。雑事に阻まれることなく没頭できる最高の空間だぞ」
コゼット「ただのものぐさじゃん、見なよ、そこなんて小さくてヤバい子達が集まってパーティーやってるよ」
朝雛タクト「放っておけ。奴等は単に見かけが不快なだけで僕のピアノの邪魔はしない。誰かと違ってな」
コゼット「私も別に邪魔はしないよ。タクトが人として最低限の生活を守れるようここに来てるだけなんだから」
朝雛タクト「もういい、勝手にしろ、僕は時間が惜しいんだ」
コゼット「イエス!マエストロ!」
アンナ「コゼット!こっち終わった」
コゼット「タクト絶対お風呂入ってないしそのシャツも着替えてないでしょ」
コゼット「だって一番汚いところから掃除しないと片づかないじゃない」
コゼット「あれ?ごめんごめん!掃除の邪魔になるのはタクトだった」
コゼット「せめてあの薄暗いガレージに一日中いるのはやめようよ~たまには天気のいい日に公園で散歩とかさぁ」
コゼット「私達が来なきゃゴミに埋もれて死ぬかお風呂サボったあげく病気になって死ぬかだよ」
朝雛タクト「バカバカしい。家から一歩も出てないのに汚れるわけないだろう」
コゼット「何それ…本気で言ってる?」
朝雛タクト「むしろお前らが外から汚れを持ち込む可能性の方がよっぽど高い」
コゼット「信じらんない!あ~かわいそう!こんなだめ人間に一日中ずっと弾かれてるピアノがホントかわいそう!」
アンナ「シャラップ!そのへんにしといてコゼット。タクトも食事中よ」
朝雛タクト「何が言いたい?」
コゼット「だからね、外に出て弾きたくない?ピアノ。絶対みんな喜ぶと思うよタクトのピアノ」
朝雛タクト「僕はここでしか弾けない。だいたい外にはピアノなんて残ってないだろ。適当なことを言うな」
アンナ「うちの両親、それにロッテ姉さんもあんたに何かあったら亡くなったケンジおじ様に合わせる顔がないって。でも私とコゼットだっていずれニューヨークに移ることになるかもしれないし」
アンナ「可能性の話よ。そうなったらあんたはどうするの?タクト」
コゼット「じゃーん!見て見てこれ!」
コゼット「うちの街にも来るんだって!シンフォニカのお祭りが」
コゼット「待って待って!お願い聞いて!タクトが堂々と外でピアノ弾きまくれるチャンスなんだってば!」
コゼット「シンフォニカパーティーってのはね、シンフォニカがあっちこっちの街を回って開いてくれるお祭りなの。ザーガン宣言から4年もたったし、いろいろとみんな今我慢してることも、この日はわーっと騒いで元気を取り戻そうよって」
コゼット「移動遊園地でしょ、屋台でしょ、ダンスにお芝居。現地の皆さんのパフォーマンスも大歓迎。このお祭りなら街のど真ん中で音楽鳴らしたって怒られない。一晩中徹夜で弾いたって…たぶん」
朝雛タクト「わからない」
コゼット「あ~あ…だめだ…暗譜できてるのここまでだ」
コゼット「死んじゃったママに教わったの。フランスは音楽だめじゃなかったから」
朝雛タクト「なんで悲愴なんだ?もっと他にあるだろう?」
コゼット「気分だったの。今ならこの曲書いたベートーベンの気持ちわかるかも…」
コゼット「朝雛タクト衝撃のストリートピアノデビュー!」
朝雛タクト「なんだよ?」
コゼット「その間をつなぐ第二楽章は愛なの」
コゼット「また弾きに来るね!次は連弾してあげてもいいよ」
アンナ「私にだってもちろん甘えてはくれる。でも違うの。あの子があんなに自然に思いのままの笑顔を向けるのは、あんただけなのよ」
朝雛タクト「こっちはいい迷惑だ。好き放題騒がれて勝手にピアノまで弾かれて」
アンナ「本当に誰も聴いてくれる人がいなくなった時それでもあんたはまだ弾き続けられるの?」
「ザーガンGMによる終息宣言から4年。D2の脅威は完全には消えていませんが我らは怯むことなく再生の道を歩んでいきます」
「今日この祭りが皆さんの明日への活力となることを願います」
アンナ「今頃あいつ腰抜かしてるでしょうね。タクトのうろたえた顔見てやりたかったわ」
アンナ「演奏の許可の方は大丈夫なのね?」
アンナ「ほんとに来るのかしら?あいつ」
コゼット「来るよ、絶対」
ザーガン「盛況のようで何よりです、支部長」
ザーガン「たまたま近くまで来たので寄っただけです。まだ任務がありますから」
シントラー「実にいいものですねぇ」
シントラー「人々が平和を謳歌している光景は」
シントラー「市民の皆さんの安全には十分気をつけてくださいね」
アンナ「コゼット!ひとっ走り行ってくる!首に縄つけてでもあいつを引っ張り出すから」
コゼット「大丈夫。とりあえず私がつないどくからお姉ちゃんはここで見てて。来るよ、タクトは」
コゼット「タクト!」
朝雛タクト「お前なぁ、祭にその曲は違うだろ」
コゼット「さぁご存分に、マエストロ!」
朝雛タクト「ハァ…」
朝雛タクト「聴かせてやるよ、本物の音楽ってやつを」
朝雛タクト「コゼット!!」
コゼット「…タクト…」
コゼット「やっぱり私…タクトのピアノ…好き…」
朝雛タクト「コゼット…こうじゃないだろ…音楽はもっと心地よくて…喜びにあふれてて…一緒に歌おうってお前が…」
朝雛タクト「終わらせない…聞こえるだろ?立て!目を開けろコゼットー!!」
運命「マエストロ」
運命「これを」
運命「D2の活動を確認。これより殲滅に入ります。ご指示を」




