


安室透「何かヒントがあればいいんですが…」

西野澄也「ヒントって言っても…」


脇田兼則「イラつきやすねぇ…あんたらがずっと隠し通してる部活の事を話してくれりゃあ」

脇田兼則「暗号解読の糸口になると思うんですがねぇ」

西野澄也「言ってもいいけどよ…」
毛利小五郎「もしもし」
大和敢助「長野県警の大和だ」
大和敢助「例のトンネルの除雪作業はあと一時間ってところだ。そっちには3時間あれば迎えに行ける」
大和敢助「それまで大人しくしてんだぞ!」

西野澄也「冗談じゃねぇ!」

西野澄也「3時間も殺人犯が潜んでるかもしれねぇ場所でおとなしくじっとしてられっかよ!その3時間でまた誰かが何かの方法でやられるかもしれねぇぞ!!」
古浦郁絵「でも最初に殺された和田君がボーガンの仕掛けられたトイレに向かったのは」
古浦郁絵「西野君が引いたクジでだし」
古浦郁絵「不審な音の様子を見に行って風呂場の前で毒殺された川崎君たって」
古浦郁絵「様子を見に行くペアを選ぶ方法を決めたのも」
古浦郁絵「西野君じゃない」

脇田兼則「ああ、3つのミントタブレットの内2つのケースを空にして、中身が入ってるケースを引いたペアが様子を見に行かされるって決めたんでさぁ」

脇田兼則「もちろん引いちゃならねぇハズレがわかる小五郎師匠は真っ先に空のケースを引きやしたけどね」

安室透「予め書斎に殺人犯が潜んでいなければの話ですけどね」

脇田兼則「しかし妙だと思いやせんか?何で探偵の小五郎師匠はここに呼ばれたんですかい?ここで自殺したっていう日原泰生って人の無念を晴らしてぇんなら呼ぶのはあんたらだけで十分だ。探偵なんか呼んだら、逆に邪魔されかねやせんし」


安室透「僕達4人を含めてここに呼ばれたのは9人だから、”9”という数字に何か意味があるのかも」

毛利小五郎「”9”のメリットっつったら、クジが作りやすいってとこもあるよな?」

毛利小五郎「あと9っていや、麻雀の九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう)」

古浦郁絵「西野君!そろそろ出てきて!」


古浦郁絵「みんなと一緒にいた方が安全よ!西野君のこと疑ってなんかいないから」

西野澄也「当たり前だ!確かにボーガンが仕掛けられたトイレに行くことを決めるクジを引いたのは俺だけどズルなんか出来ねぇよ!!」


藤出頼人「(えっ?メール?今書斎にこもってる西野から?)」

藤出頼人「(は…犯人がわかった!?)」

西野澄也「まずはこの紙を見てくれ」
藤出頼人「ん?新たな暗号を見つけたのか?」
藤出頼人「残念だが僕には読めないよ」
西野澄也「うわああ!!何するんだ!!」
西野澄也「変な物飲ませるなよ!!俺はまだ死にたくない」
西野澄也「殺さないでくれぇ!!」


脇田兼則「当然藤出さんの指紋が付いてるでしょうから」
脇田兼則「今叫び声でアッシらが部屋の外で聞いたと証言すれば」
脇田兼則「あとで来る警察は思うでしょうねぇ。屋根裏を通ってこっそりやって来た藤出さんが毒を飲ませて殺したって」
脇田兼則「藤出さんがあんたからここへ来てくれってメールをもらったと言い張っても、メールを出したスマホをこの部屋に転がしておけば、それで自分に送ったんだろうと一蹴されちまうって寸法だ」
西野澄也「いや…あんたらが天井からドヤドヤ降りて来たから…ちょっとパニクっただけだよ…そ…それに先も言ったけど和田と川崎が殺されたのは偶然で…」

安室透「あなたはボーガンを仕掛けたトイレに和田さんが向かうように仕向けたんです。トリックでね」

安室透「鋏がない場合」

安室透「一枚の紙を9等分にしたら、四辺全てに破り目がある紙が中央に1枚だけできる」

安室透「その紙を和田さんに渡して、名前を書かせれば」
安室透「問題のトイレに行く人を後回しにしてね」
西野澄也「でもよ…ミントタブレットの方はどうなんだよ!?」
コナン「ねぇおじさん、その時どれを引いてもハズレはないって気がしたんだよね?」
毛利小五郎「ああ、どのケースもヤバい感じがしなくてなぁ」


コナン「簡単な手品だよ。こうやって左手でケースを振っても音はしないけど」

コナン「右手で振ると…ほら、音がするでしょう?なぜかって言うと、右手の袖の中にもう一個、中身が入った予備のケースを挟んでいたからだよ」


毛利小五郎「あんたが前もってこの廃教会に仕込んでおいたスマホの着信音を、ガラスが割れる音にしておけば、いつでも鳴らせるんじゃないのか?」

西野澄也「そうかもしれねぇけど…様子を見に行った先で川崎が誰かから受け取ったメールを見て、血相変えて走ってたのは本当だよ」

安室透「指先に蜂蜜が付いてしまった彼は」

安室透「近くの風呂場に駆け込んで、手を洗わずにはいられなくなる」

コナン「そういえば、川崎さん手を洗う時、ハンカチをくわえてたよ」

脇田兼則「そのハンカチを一旦くすねておき、くわえる部分に毒を塗っておけば、何かをやり終える度に水を飲んでた川崎さんは、唇に付いた毒ごと水を飲んじまうってわけか」


毛利小五郎「あんた…マジシャンだろ?昔偶然捕まえた手品師くずれのスリが言ってたんだよ」

西野澄也「ちょっと待て!そのカードのトップ、一番上のやつに妙な汚れが付いてるな」

毛利小五郎「裏向きに札を重ねた時一番上の札を”トップ”、一番下を”ボトム”ってな。マジシャンならスマホやハンカチを抜き取れるんじゃねぇのか?」

毛利小五郎「飲み物をもらうついでに藤出さんのバッグに、まだ何も書いてない暗号表の束を仕込んでいたようだしな」

西野澄也「だから…そんなの…しらねぇって」


安室透「恐らく彼がキャッチャーだったから」

安室透「つまりあなた方は高校時代野球部員だった」
安室透「野球がキーワードなら、あの暗号はすぐに解ける」
安室透「高校野球は守備位置によって背番号が決まっていますから」
安室透「内側に太い線で囲われた死角が、内野を表しているとすれば、あとは背番号の順に9つの文字を読んでいくだけ」


安室透「次にこの礼拝堂の扉に貼ってあった暗号は」
安室透「”トイレでワンナウト”」
安室透「更に、みんなで探しに行った先にあった暗号は “風呂場でツーアウト”」
安室透「川崎さんの遺体のそばの暗号は “書斎でチェンジ”」
安室透「先ほど藤出さんに渡した暗号は、完全犯罪を意味する “パーフェクトゲーム”」

安室透「ここへ高校の同級生を集め、自分を含めた3人の命を絶った殺人犯は、犯行現場に解けない暗号を残し完全犯罪を成し遂げたと悦に入っている」

毛利小五郎「郁絵さんは何で呼んだんだ?9人にするための数合わせか?」

西野澄也「郁絵に見せつける為だよ!!」

西野澄也「高校時代に付き合ってた日原から、お前が乗り替えたこの藤出はとんでもねぇ悪だってな!」

西野澄也「フッ…あんたらも聞いた事あるだろ?」
西野澄也「9連続エラー5回コールド完全試合」

西野澄也「ああ、地区予選の準々決勝…俺は前の試合で大ケガしたから出てなかったが…病院のテレビ越しからでも分かったよ」

西野澄也「こいつらがあの試合…わざと負けたってな!!その時エラーしまくってた和田と川崎と藤出が信濃大学に進学したから密約があったんだろうよ!信濃大学付属高校は決勝で負けたけど、あの試合で文武両道だと有名になったからな」

西野澄也「ガキの頃よく野球をしていたこの教会で首を吊ったのさ」

西野澄也「コイツらが八百長なんかしたせいで!俺がそれをとめられなかったせいでな!!」


藤出頼人「約1000球をたった一人で投げ切ったせいでニッチの肩はもう限界だったんだ…そりゃ最初から負けようなんて思ってなかったけど」

藤出頼人「点差がつき始めて和田が言ったんだ…ニッチの将来の為にコールド負けしようって…アイツ絶対最後まで投げるって言うから」

藤出頼人「でもニッチの肩はもうすでに壊れてて…」

西野澄也「お…俺は…何てことを…!!」


コナン「(殺人者はそれで口を閉ざしたが)」

コナン「(教会の外では吹雪がうねりを上げていた。彼の哀咽を代弁するかのように…)」
大和敢助「ったく…2人も殺されやがって…」

大和敢助「(このズクナシに弟子が二人だとぉ?)」













































































