ローダンセ 「静粛に」

ローダンセ 「大戦が終わり、ドールへの需要は高まる一方です」
ローダンセ 「勿論、本校へ通わずともドールになることは可能ですが、我々の目的はただのドールではなく、良きドールを育成することです」

ローダンセ 「しかし、私が良きドールと認めない限りこの証は決して与えられません。覚悟は良いですか?」
ヴァイオレット 「了解しました」


ローダンセ 「ここまで。では本日の成績を発表します」

ローダンセ 「文法の成績、満点。ヴァイオレット・エヴァーガーデン。次、語彙の成績、満点。ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

クラウディア 「お帰りヴァイオレットちゃん」

ヴァイオレット 「社長、本日の評価をローダンセ教官より預かっております」

エリカ 「社長、ホントよくあれで一緒にこの会社創立できましたね」
ローダンセ 「本日の授業は実際に手紙を代筆する訓練を行います」

ローダンセ 「貴女が気持ちを伝えたい身近な人にすれば良いのです」

ルクリア 「えっと…お父さんお母さんに今までの事のお礼をちゃんと言えてなくて…うーん…いざ手紙にするとなるとなんか言いたい事が上手く出て来ないのね…あっ、あと一緒に行った場所のこと、行きたかった場所のこと…たくさんあり過ぎて伝え切れないね。それじゃあまた…心配しないでね。ルクリアより」

ローダンセ 「ヴァイオレット、読んでみなさい」

ヴァイオレット 「拝啓父上様、母上様。久々の手紙ですが伝達事項はありません。以前からの件に感謝を伝えていないことを懸念しております。一緒に行った場所、行きたかった場所に関して、伝えるべき情報は無し。当方は現在、鋭意努力中。状況は健康無事。問題は起きておりません。以上くれぐれも憂慮無きよう。ルクリア」

ローダンセ 「手紙とはそもそも人の心を伝えるもの。良きドールとは人が話している言葉の中から伝えたい本当の心を掬い上げるものです」
ローダンセ 「ヴァイオレット、貴女は学科の成績も良くてタイプもとても速くて正確です。けれど貴女の代筆したものは手紙とは呼べません」
ヴァイオレット 「手紙とは…呼べない」

ローダンセ 「ではこの手紙はお互いの相手に必ず渡して下さい」

ルクリア 「そう…ねえ、この街で一番素敵な景色、教えてあげる!」
ルクリア 「ここよ」
ルクリア 「急だから気を付けて」

ルクリア 「素敵でしょ?」
ルクリア 「私は子どもの頃からずっと…この眺めが大好きなの」




br />ルクリア 「じゃあ私、こっちだから、またね」
ヴァイオレット 「ルクリアさん」

ヴァイオレット 「ルクリア…」
ルクリア 「ありがとう」
クラウディア 「ヴァイオレットちゃん、手紙をくれるのは嬉しいんだけど…」
ローダンセ 「ブルーベル・ユノア、イベリス・コノウエ、ルクリア・モールバラ」

ローダンセ 「では以上9名を今回の卒業者とします。皆さんが良きドールになりますように」
クラウディア 「そうか…残念だったね」
ヴァイオレット 「申し訳ございません…」

ヴァイオレット 「確かに卒業が全てではありませんが、人が話している言葉の中から伝えたい心を掬い上げられないのではドールの意味が…ありません」

ルクリア 「ねえヴァイオレット、少佐って誰?貴女、毎回手紙の最後に“少佐からの手紙はまだですか?”って付けてるじゃない?本当に手紙を書きたい相手はその人じゃないの?」

ルクリア 「私、お兄ちゃんになにを言えば良いか…分からないの」

ルクリア 「戦争が始まって、お兄ちゃんは兵士として戦いに出たわ。でも、配備された西部戦線は殆ど戦闘がない所だった」

ルクリア 「戦いはいつもどこか離れた場所で起きていて…私たちはずっと他人事の様に戦争を感じていたの」


ヴァイオレット「貴女の伝えたい気持ちを手紙にしましょう」

ルクリア「でも…お兄ちゃんに伝えようって考えるとダメなの」

ヴァイオレット 「良きドールとは」
ヴァイオレット 「言葉の中から…伝えたい本当の心を掬い上げるもの」
スペンサー 「お兄ちゃん」
スペンサー 「生きて…来てくれて」
スペンサー 「嬉しいの…」
スペンサー 「…ありがとう」

ルクリア 「ヴァイオレット!」
ヴァイオレット 「ルクリア…どうしたのですか?」

ローダンセ 「良きドールとは人が話している言葉の中から伝えたい本当の心を掬い上げるもの」
ローダンセ 「貴女は今、その一歩を踏み出したのです」
ローダンセ 「ヴァイオレット、貴女が良きドールになりますように」






















































































