あらすじ
幼きブルックはルーヴェンの命でキャンデルの従者となり、音楽への情熱を抱きながら剣の稽古に励む。時が経ち大人になったブルックは、王女シュリ姫に過去の天竜人の来航や、ルーヴェンとキャンデルの結婚、シュリの誕生という国の歴史を語る。しかし国は突如として濃霧とスモッグに襲われて音楽が消え、キャンデルも亡くなって疲弊していく。さらに世界政府から天上金の代わりに千人の奴隷を要求されたルーヴェンは、政府への戦争を宣言する。不安に怯える国民をブルックは歌で元気づけるが、やがて政府軍が宮殿に侵入する。ブルックが急いで宮殿へ駆けつけると、そこにはシュリ姫の剣に刺されて血を流すルーヴェンと、悪魔のような姿に変貌したシュリ、そして煙草を吸う謎の男が佇んでいた。
概要
第1185話は、麦わらの一味の音楽家であるブルックの若き日の過去と、彼がかつて所属していたエスペリア王国の崩壊の引き金となった悲劇が描かれる重要な過去回である。前半ではブルックの従者時代のコミカルな日常や、後に国王となるルーヴェン、その妻キャンデルとの深い絆、そして王女シュリ姫との温かい交流が描写される。中盤では、世界政府が非加盟国や加盟国に対して行う天上金や奴隷要求という非道な搾取の全貌と、それに伴う国の急速な衰退がリアルに表現されている。後半の政府軍との戦闘から一転して、身を捧げて守るべき対象であったはずのシュリ姫が実の父親を刺し殺すという衝撃の結末は、読者に大きな謎と戦慄を与えている。
本文:ネタバレ
1. 幼きブルックの従者任命とキャンデルによる宮廷教育の開始
若き日のブルックはルーヴェンからの命令によってキャンデルの付き人となり、宮廷に相応しい人間になるための教育を受け始める。
従者としての任命と徹底的な教育の指示:
- ルーヴェンはキャンデルに対し、これからはブルックを彼女の従者として預けることを決め、礼儀作法や言葉遣いを一から徹底的に教え込むようにと言い渡す。
キャンデルへの熱烈な賛辞と敬称の注意:
- 王宮の周りには綺麗な女性が多いと感じつつもキャンデルが一番の美人であるとブルックは熱烈に褒め称えるが、彼女から即座に様を付けて呼ぶようにと叱られ、自分がただの従者であることを厳しく自覚させられる。
2. 制服着用への抵抗と音楽への強いこだわり
指定された衣服を身につけないブルックは、自身の音楽への情熱を語りながら自身の独自の価値観を周囲に示す。 制服を拒む理由と将来の音楽への影響:
- キャンデルから制服を着ないのはそれが嫌いだからなのかと尋ねられたブルックは、学校の枠に染まってしまうと自分にしか作れない素晴らしい音楽が作れなくなるとこだわりを語る。
戦団の衣服への憧れと将来への展望:
- 今の制服は着ないものの、いつかは誇り高き護国戦団の服を身にまとうような存在になってみたいという強い願望を明かし、自身の将来への展望を口にする。
3. 宮殿の兵士たちからの羨望とブルックの独特な笑い
キャンデルの側にいられる特別な立場となったブルックは、周囲の兵士たちから多大なる注目を浴びることになる。 兵士たちからの熱烈な羨望の声:
- 宮殿を守る多くの兵士たちはキャンデルの従者になれたブルックの立場を非常に羨ましがり、お前は本当に幸運で羨ましい存在であると口々に声をかける。
独特な笑い声による周囲の和ませ:
- 周囲の兵士たちから羨望の眼差しを向けられたブルックは、特に気負うこともなくヨホホと独特な笑い声を響かせ、その場の空気をコミカルに和ませる。
4. 剣の稽古中におけるキャンデルの一途な恋心の追及と否定
ブルックはキャンデルから直々に剣術の指導を受けながら、彼女の恋愛事情について興味津々で踏み込んだ質問を投げかける。 手の届かない相手への一途な鍛錬の理由:
- 好きな男性はいないのかとブルックから聞かれたキャンデルは、自分には手の届かない存在である恋慕の相手がおり、その人物の最も近くにいるために剣を鍛えたのだと一途な思いを語る。
女性らしい格好の提案と盛大な勘違いの否定:
- もっと女性らしい服装をすれば相手にモテるとブルックが助言し、お側にいられるだけで良いという言葉を自分への好意だと勘違いするが、キャンデルから即座に違うと大声で全否定される。
5. 成長したブルックによる世界政府の来航事件の回想
年月が流れて大人になったブルックは、シュリ姫に過去に国を揺るがした大きな事件について語り始める。
国民の憧れである国の太陽の形容:
- ブルックはシュリ姫に対し、かつてのキャンデルが誰もが憧れる存在であり、まるで国全体を優しく照らす太陽のような人物であったと懐かしそうに話す。
世界政府の船の到来とシュリ姫の問いかけ:
- 過去にエスペリアに世界政府の船が流れ着く大事件が発生し、見たこともない強大な権力の出現に国中が一時的に大騒ぎになった記憶を語り、シュリ姫からそれは天竜人なのかと問いかけを受ける。
6. 天竜人のもたらした心労によるキャンデルの発病と国の暗黒期
世界政府の強烈な威圧感はキャンデルの体を蝕み、国全体を包み込むような暗い影を落とす。 政府の威圧感によるキャンデルの長期の不臥:
- 世界政府が放つ威圧感は凄まじく、その心労が原因となったのかキャンデルは数ヶ月にわたって病床に伏せってしまい、一切動けなくなる。
太陽の沈没と表現された国民の深い絶望:
- キャンデルが寝込んでしまった時の国民の落ち込みぶりは凄まじく、不謹慎ながらも国の太陽が本当に沈んでしまったかのような深い絶望と暗闇が国中を支配したとブルックは振り返る。
7. ルーヴェン王子の国王即位とキャンデルとの結婚による国の喝采
暗黒期を乗り越えたエスペリア王国に、歴史的な大ニュースが舞い込み、国全体が歓喜の渦に包まれる。 武骨な王子の即位という衝撃のニュース:
- 武骨な王子として多くの国民から深く愛されていたシュリ姫の父親が、ついに新たな国王として即位するという素晴らしいニュースが国中を駆け巡る。
キャンデルとの結婚とライブ会場のような喝采:
- 国王即位と同時にキャンデルとの結婚が正式に発表され、エスペリアという名の巨大なライブ会場は、国民たちの割れんばかりの熱烈な喝采と祝福に包まれる。
8. シュリ姫の誕生とブルックが抱く両親への深い恩義
新たな命の誕生に国全体が沸き立ち、ブルックは自分がどれほど国王夫妻を慕っているかを熱く語る。 待ち望まれた王女の誕生と国の歓喜の爆発:
- ルーヴェンとキャンデルの間にシュリ姫が誕生したことでエスペリア王国は沸きに沸き、ブルックは話が逸れたと言いながらも国全体がどれほど祝福に満ちていたかを説明する。
命を投げ出せる大恩人への捧げ歌の演奏:
- 二人のためなら自分の命だって簡単に投げ出せるほどの大恩人であると語ったブルックは、パパやママを称える歌詞を含んだ投げ出しロックという楽曲をその場で演奏してシュリ姫に聴かせる。
9. シュリ姫との命のやり取りと西の国の歌による独立の勧め
シュリ姫はブルックの忠誠心の理由を厳しく追及し、その後二人は微笑ましい雰囲気の中で剣術の修練に励む。
自分自身への忠誠を求めるシュリ姫の追及:
- 自分が危険な目に遭ったら命を差し出すのは両親の娘だからかという問いに、あなただからだと答えたブルックに対し、シュリ姫は言うのが遅いと怒る。
西の国の言葉を用いた独立の歌の伝授:
- 親から独立したい時に最適な歌として、ブルックは西にあるカミガタという国の方言を用いた独特な楽曲を披露し、シュリ姫をあははと大笑いさせる。
ほっときなはれ♫:
- ほっとーきなはーれ~♫キャンディに釣られる子犬ちゃいまっせ♫ウチは子供やないんやさかい♫
- お菓子に釣られるような子供ではないという自立の意思を込めたこの歌詞を、ブルックは感情を込めて歌い上げる。
10. 濃霧と有毒スモッグの襲来による音楽の消失と国の急激な疲弊
シュリ姫が15歳になった年に、エスペリア王国を未曾有の天変地異が襲い、平和だった街の光景が一変する。 半年間に及ぶ濃霧の停滞と楽器の腐食:
- 国から一切の音楽が消え去ったその年、島は深い濃霧に覆われて霧が半年もの間居座り続けた結果、国の宝であった数々の楽器がすべて腐り果ててしまう。
有毒スモッグによる健康被害と人々の咳の音:
- 霧はやがて凶悪なスモッグへと変化して島全体を飲み込み、街には音楽の代わりに人々の激しい咳の音ばかりが響き渡り、数万人の肺が冒されて数百人もの命が奪われる。
度重なる災難による国の急激な衰退:
- 霧がようやく晴れたものの、次々と襲いかかってくる信じられない不幸な出来事の連続に国はすっかり疲弊してしまい、その深い傷跡はエスペリアを限界まで追い詰めてゆく。
11. キャンデルの崩御と天上金算出に頭を抱える国の窮状
国の象徴であったキャンデルがこの世を去り、残された者たちは世界政府への多額の支払いに頭を抱える。
悲しみに暮れる葬儀と遺影への涙:
- キャンデルが亡くなってしまい、悲しみに包まれた葬堂では多くの人々が彼女の遺影を見つめながら大声を上げて涙を流し、絶望に暮れる。
世界政府への天上金の不払い問題の発生:
- 財政が破綻しかけている現状を受け、部下は国王に対し、世界政府へと納めるべき莫大な天上金をどうしても算出することができないと絶望的な状況を報告する。
12. シュリ姫の未来予知のような動きとルーヴェン国王の悩みの察知
時が経過しても剣の稽古を続けるブルックとシュリ姫の間で、将来の進路や国王の様子に関する会話が交わされる。 未来予知を思わせる鋭い身こなしい:
- 稽古の最中にシュリ姫が時折まるで未来の出来事でも見えているかのような不思議な動きを見せるため、ブルックはおっとと声を上げてその素質を大いに褒め称える。
母親のようになりたい王女の願いと前線への懸念:
- 亡き母親のようになりたいとはにかむシュリ姫に対し、ブルックは王女が前線で戦うようなことになれば父親が心配すると告げるが、シュリ姫は父親が最近何か重大なことで悩んでいるようだと口にする。
海賊への夢と奥義習得の優先:
- かつてブルックが海賊になりたがっていたことを指摘された彼は、自分の夢など二の次で良く国王に付き従うだけだと答え、その時は自分も一緒に行くと言い張るシュリ姫をダメだと引き止める。
13. ルーヴェン国王による世界政府への宣戦布告と奴隷要求の拒絶
ルーヴェンは突然に戦団のメンバーを集め、世界政府を相手に国を挙げた戦争を行うことを厳かに宣言する。
突然の戦争宣言と戸惑う団員たち:
- ルーヴェンが世界政府との間に戦争が始まると告げると、団長や国王と呼びかける周囲の戦団員たちはあまりの衝撃に理由を教えてほしいと詰め寄る。
千人の奴隷要求という非道な免除条件:
- ルーヴェンは今年の天上金の支払いを免れる唯一の手段として、政府から千人もの奴隷を差し出すよう要求されたというあまりにも残酷な事実を明かす。
聖地への生贄の拒絶と決死の抗戦の意志:
- 聖地マリージョアへと送られた奴隷の運命は死に等しいと語るルーヴェンは、2ヶ月後に政府の船がやってくるが、自分には生贄を自ら選んで引き渡す気など毛頭ないと強い決意を語る。
14. 略奪を恐れる国民へのブルックの歌による激励
非加盟国になることへの恐怖を募らせる街の人々の前に、ブルックは箱の上に立ち上がり、力強い歌声で彼らの心を救おうとする。
国の終わりと略奪を懸念する住民の声:
- 街に降りたブルックに対し、住民たちはこの国はもう終わりなのか、非加盟国になれば無法地帯と化して何もかも略奪されるのではないかと口々に不安を漏らす。
西の海での国家消滅の噂と広がる恐怖:
- 少し前にも西の海において一つの国が完全に消え去ったという恐ろしい噂話が人々の間で共有され、絶望が広がる中でブルックは木箱の上に飛び乗って自身の音楽を響かせ始める。
「ほっときなはれ」歌詞:
- ウチ♪聞いた事おまんねん♫修羅の海にゃ♪お上~もびびって近~づかん♫サムライっちゅー兵♪巨人っちゅー民♫そんな奴らがおる話♫。蜂を怖がるみたい~にーなァ♪いっぺん噛んだら逃げ出しまっせ♪よう考えや♪ウチにゃ取られるもんがないさかい♫ほっときなはれ♪ほっときなはれ♫地図の端にあるよーな♪せやけど消えへん名があんねん♫「ここ」は簡単にゃあ♫奪えへん♫
- 強者たちの噂や、自分たちにはもう奪われるものなど何もないという歌を聴き、国民たちは確かにその通りだと大笑いして納得する。
15. 政府軍の急襲と宮殿でのルーヴェン惨殺の光景
ついに世界政府の軍勢がエスペリアへと容赦なく攻め込み、激しい戦闘の火蓋が各所で切って落とされる。 北の港からの侵入と防衛線の決壊:
- 電伝虫から北の港より敵が上陸したという緊急の通信が入るが、現場は上陸させるなと大混乱に陥り、敵の手が宮殿にまで迫っているという最悪の報告を聞いたブルックは、階段を塞ぐように指示を出して自分が止めに行くと単身で向かう。
過去の対話のフラッシュバックと庭園の炎上:
- ブルックの脳裏には無茶を言うなとお前が捕まれば身動きが取れなくなるとシュリ姫を窘めていたルーヴェンの言葉が蘇り、かつて彼女と一緒に楽しく散歩をした美しい庭園やゴミ処理場が激しく炎上している光景を目にして心を痛める。
ほっときなはれ♫:
- ほっときなはれ♪ほっときなはれ♫地図の端が光り出す♪ウチが本気でキレたら♪あんたらたまげて震えまっせ♫
- 本気で怒った時の恐ろしさを表現した歌のフレーズを胸に刻みながら、ブルックは主君のもとへと急ぐ。
国王の惨殺と悪魔の姿への変貌の目撃:
- 大声で名前を呼びながら部屋へ踏み込んだブルックは、血を流して無残に倒れているルーヴェン国王と、彼を突き刺した剣を握りしめながら冷酷に見下ろしている、まるで悪魔のような姿へと変貌を遂げたシュリ姫を目撃する。
宮殿の奥に腰掛ける謎の男と以津真天の影の出現:
- 部屋の奥では、静かにタバコを吸っている謎の男が佇んでおり、さらに彼らの間には以津真天の姿に変身したマーズ聖と思わしき者もいる。
戦争の終結宣言と衝撃の結末:
- シュリ姫はブルックに向かってこれで戦争が終わるから嬉しいだろうと不気味な笑みを浮かべて語りかけ、宮殿での謎に包まれた惨劇を描いて次号休載となる。
まとめ
第1185話「ほっときなはれ」では、若き日のブルックが過ごしたエスペリア王国の過去の思い出から、世界政府との戦争、そして宮殿での悲劇的な結末までが描かれる。 幼きブルックの従者生活と音楽への熱意:
- ルーヴェンの指示でキャンデルの従者となったブルックは、彼女から剣の稽古を受けながら音楽への情熱を燃やし、微笑ましい日々を過ごす。
天竜人の来航と国王夫妻の結婚の思い出:
- 成長したブルックはシュリ姫に対し、過去に天竜人が流れてきて国が騒然としたことや、それを乗り越えてルーヴェンとキャンデルが結婚し、シュリが生まれた喜びを語る。
国の疲弊と世界政府からの非情な奴隷要求:
- エスペリアは数か月に及ぶ有毒なスモッグの霧に襲われて多くの命を失い、さらにキャンデルも亡くなったことで衰退し、世界政府から天上金の代わりに千人の奴隷を要求される。
ルーヴェンの宣戦布告とブルックの歌による鼓舞:
- 奴隷の引き渡しを拒絶したルーヴェンは政府への戦争を決意し、非加盟国になる恐怖に怯える国民たちをブルックは得意の方言混じりの歌で笑顔にする。
政府軍の急襲と燃え盛る宮殿の惨劇:
- 政府軍が島に上陸して宮殿へと侵入し、ブルックが思い出の庭園が燃える中を急いで駆けつける。
国王の惨殺と悪魔と化したシュリ姫の衝撃:
- 宮殿に辿り着いたブルックが目にしたのは、剣で刺されて倒れたルーヴェンと、悪魔の姿になって謎の男と佇むシュリ姫の裏切りの光景である。
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