あらすじ
横溝警部は久々の休暇で箱根の温泉を訪れ、偶然にも泥湯で萩原千速と遭遇する。そこへ福引きで当選した小五郎、コナン、蘭の一行も合流し、賑やかな時間を過ごす。同じ旅館には元女子卓球部の女性四人組である西栄来海、市来民絵、十条純夏、渋川嶺子が宿泊しており、脱衣所で来海の大切な結婚指輪が紛失する騒動が発生する。友人三人は来海の必死の願いに応じて館内を手分けして捜索し始めるが、しばらくしてトイレの捜索から戻った市来民絵が、来海の部屋で首を斬られて死亡している彼女の遺体を発見する。現場に駆けつけたコナンたちは、民絵の不自然に濡れた衣服やスリッパ、そして床に残された犯人のものと思われる返り血の跡に注目し、事件の捜査を開始する。
概要
本話は、のどかな温泉旅館という閉ざされたシチューションにおいて、友情の裏に潜む嫉妬と愛憎が引き起こした凄惨な殺人事件のプロローグである。被害者となった西栄来海は、全日本の卓球エースと結婚したことで友人たちから玉の輿として羨望と嫉妬を集めており、彼女の結婚指輪の紛失が悲劇の引き金となる。作中では、萩原千速と大江忍の女子高生時代の回想シーンが挿入され、松田陣平や萩原研二といった過去の重要キャラクターたちとの賑やかなやり取りが描かれる。事件発生後は、第一発見者である市来民絵の不自然に濡れた衣服の謎や、床に遺された返り血の途切れ、あるいは犯人が使用したと推測される館内用スリッパなど、密室殺人を解き明かすための細かな物証が提示され、読者の推理を誘う構成となっている。
本文:ネタバレ
1. 横溝警部の休暇と箱根温泉での泥湯堪能
横溝警部は久々の休暇を利用して箱根の温泉を訪れ、至福の時間を過ごす。
温泉の満喫:
- 横溝警部は温泉の湯船に深く浸かりながら、風呂に入ることこそが人生の洗濯であると楽しそうに声を漏らし、非常に気持ちよさそうな様子を見せる。
休暇の意義:
- 日頃の激務から離れて久々に休暇を取ってこの場所にやって来た甲斐があったとしみじみと感じ、温泉の素晴らしさを全身で堪能する。
箱根へのこだわり:
- 横溝警部はやはり温泉を楽しむのであれば箱根以外にはあり得ないという強い持論を抱き、今回の旅行先に選んだ箱根の湯の質に改めて感銘を受ける。
周囲への着目:
- 湯船の中でふと周囲を見渡した横溝警部は、自分が今いる温泉の空間が、向こう側にある女湯のエリアと繋がっている構造であることに気づく。
2. 混浴の泥湯における横溝警部と萩原千速の衝撃的な遭遇
混浴エリアの泥湯において、横溝警部は予期せぬ人物と顔を合わせることになる。 泥の効能:
- 女湯の側から、この泥には美肌効果があるらしいという女性客の非常に楽しそうな話し声が横溝警部の耳へと直接届く。
温泉の規則:
- その賑やかな声を聞いた横溝警部は、この温泉浴場の入り口に掲げられていた看板に一部混浴という文字がはっきりと書かれている事実を思い出す。
奇妙な遊び:
- 泥を自分の顔全体に塗りたくってどうだ覆面レスラーだぞと大声ではしゃぐ声が響き渡り、横溝警部は心の中で呆れながらガキのやるような真似だと苦笑する。
視線の交差:
- その時、湯気の中でふと前を見ると、泥を顔に塗ってはしゃいでいた相手の女性と完全に目が合ってしまい、横溝警部は心の中でやばい状況になったと焦りを感じる。
正体の発覚:
- 目が合った泥だらけの女性は横溝警部の顔を凝視し、お前は横溝の重悟ではないかと相手が警察官の横溝重悟警部であることを見抜いて大声で呼びかける。
3. 萩原千速の来訪理由と二人の警察官による泥湯の会話
泥を塗っていた人物の正体が千速であることが判明し、二人は温泉での会話を続ける。 名乗りの声:
- 突然名前を呼ばれて驚き、あのーどちら様ですかと怪訝な表情で尋ねる横溝警部に対し、その女性は私だ私、千速だと泥を拭いながら力強く名乗りを上げる。
突然の遭遇:
- 横溝警部が驚愕して何でお前がこんな温泉地にいるんだと大声を上げると、千速は自分がこの場所にやって来た具体的な理由について説明を始める。
友人の希望:
- 同行している友人の大江忍が一度この温泉に行ってみたいと言い出したため、自分の愛車のバイクの助手席に彼女を乗せてここまで連れてきたのだと語る。
既視感の念:
- バイクに友人を乗せて温泉にやってくるという全く同じようなシチュエーションについて、横溝警部は確か前にもこのような出来事があったような気がすると脳裏をよぎる。
目的の追及:
- 千速から、重悟は何の目的でここに来ているのか、お前もその泥で肌を綺麗にしたかったのかとからかわれ、横溝警部はそんなわけがないだろうと怒鳴り、泥湯には疲労回復の効果もあるのだと言い返す。
4. 事件の予感と小五郎たちコナン一行との温泉での合流
温泉地での奇妙な巡り合わせは、小五郎やコナンたちの登場によってさらに賑やかさを増す。 不吉な予測:
- 千速は、温泉地という閉ざされた空間に自分たちのような警察の面子がこれほど揃ってしまうと、今にも凄惨な殺人事件が起きそうだなと不穏な笑みを浮かべる。
偶然の否定:
- 横溝警部は何を言っているんだと呆れ、俺とお前が温泉で揃ったくらいでは何も起きやしないと一蹴し、普段から横浜の中街にあるお気に入りの店でもよく顔を合わせている事実を指摘する。
未会の確認:
- 千速がまだ他の人物に出会っていないのかと問いかけた直後、背後から大きな声が響き、小五郎が姿を現す。
名前の呼称:
- 現れた小五郎は横溝警部の顔を見るなり、お前は横溝警部の弟の方かと大声で指を差し、横溝警部はその不名誉な呼び方を今すぐ止めてくれと不快感を露わにし、隣のコナンはハハハと苦笑いを浮かべる。
旅の目的:
- 千速は、小五郎たちが町内会の福引きに当選したことで、小五郎、コナン、蘭の三人でこの温泉に招待されてやってきたと知り、蘭は自分はクジ運だけは本当に良いのだと笑顔で説明する。
5. 元女子卓球部四人組の過去の思い出と勝人の大金星
同じ温泉旅館に宿泊している元女子卓球部の女性四人組が、昔を懐かしみながら会話を弾ませる。 試合の感想:
- 同じ温泉旅館に宿泊している女性四人組の客が廊下を歩きながら、久しぶりにみんなで楽しんだ卓球の試合について、とても楽しかったねと振り返る。
エースのエース:
- 市来民絵が、やはり今日の試合で一番多く勝ち星を挙げて大活躍したのは嶺子だったと称賛すると、十条純夏もさすがは元女子卓球部のエースだと同意する。
高校の思い出:
- 褒められた渋川嶺子は、まあそれほどでもあるけれどねと自慢げに笑い、高校を卒業してから既に十年もの歳月が流れているが、自分の卓球の腕前は全く鈍っていないと語る。
- 渋川嶺子(28) 元女子卓球部エース
.jpg) 過去の役割:
- 元マネージャーの西栄来海は、自分は全然勝てなくて悔しかったと羨ましがり、マネージャーだったから仕方が無いけれど、せめて一つくらいは勝ち星が欲しかったと本音を漏らす。
- 西栄来海(28) 元女子卓球部マネージャー
.jpg) 最高の結婚:
- 市来民絵は、来海が元男子卓球部のエースであった勝人君と去年結婚してゴールインしたことこそが最大の大金星だと指摘し、彼は今や全日本のメンバーでオリンピックのメダル候補だと語る。
- 市来民絵(28) 元女子卓球部部長
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6. 飲み会代の賭けと脱衣所における結婚指輪紛失の発覚
楽しい会話の後に、西栄来海の大切な結婚指輪が脱衣所から消失していることが明らかになる。 過去の告白:
- 十条純夏は勝人君が本当に大好きで過去に告白したけれどフラれたと言い、来海から結婚式の招待状が届いた時は悔しさのあまり軽く殺意を覚えたのだと冗談交じりに話し、渋川嶺子も自分なんて三回もフラれたと明かす。
- 十条純夏(28) 元女子卓球部副部長
.jpg) おごりの決定:
- 渋川嶺子と十条純夏は、この後の部屋での飲み会にかかる全てのお代は全て来海のおごりだからねと三人で口を揃えて笑顔で宣言し、来海はずるいと抗議する。
旦那の稼ぎ:
- 渋川嶺子たちは、どうせ全日本メンバーの夫が将来たくさん稼いでくれる玉の輿なのだから問題ないと主張し、朝まで付き合うようにと笑顔で強要し、来海ははぁいと受け入れる。
紛失の動揺:
- その後、脱衣所に移動した西栄来海は、温泉の湯船に浸かる前に外して確かに衣服の籠の中に入れておいたはずの自身の結婚指輪がどこにも見当たらないことに気づいて焦り出す。
盗難の疑念:
- 指輪が無いと騒ぐ来海に対し、市来民絵は誰か他の宿泊客に盗まれてしまったのではないかと心配するが、来海は宝石もついていないただの結婚指輪を欲しがる人がいるのだろうかと疑問を口にする。
紛失の仮説:
- 十条純夏は、指輪を外したつもりになってそのまま温泉の湯船に入ってしまい、泥湯の深い泥の中に落としてしまったのではないかという仮説を提示する。
7. 指輪の外し癖と四人の友人による手分けした捜索の開始
指輪の行方を巡って議論が交わされた後、四人は手分けして広大な館内を捜索し始める。 卓球時の行動:
- 渋川嶺子は、来海が左利きのシェイクハンドで卓球をプレイする際、指輪をつけていると邪魔になるからという理由で事前に外していた事実を指摘する。
洗い時の習慣:
- 市来民絵も、来海がトイレに行って手を洗う前にも、大切な指輪を少しでも汚したくないという理由でいつも外していた癖を思い出し、ハメ直すのを忘れたのではないかと疑う。
宝物の主張:
- 十条純夏が、おっちょこちょいな来海のことだから部屋に忘れた可能性もあると言い、また夫に買ってもらえばいいとなだめるが、来海はあれは二人で一生懸命選んだ唯一無二の宝物だからみんなで探してほしいと切実に涙ながらにお願いする。
捜索の分担:
- 来海の必死なお願いを聞いた友人たちは、高校時代に何度もこのお願いに振り回されたことを懐かしみつつ、やるっきゃないと覚悟を決めて手分けして探すことに同意する。
場所の決定:
- 十条純夏はここに残って洗い場や湯船の中を、市来民絵はトイレを、渋川嶺子は別棟の卓球場をそれぞれ捜索することにし、来海にここで待つように言い残して散らばる。
8. 休憩室での小五郎の贅沢と大江忍の浴衣の記憶
一方のコナン一行は、休憩室でリラックスしながら過去の甘酸っぱい思い出話に花を咲かせる。 椅子の独占:
- 小五郎は温泉から上がった後、休憩室に設置されていた新型のマッサージチェアの揉み心地が最高だったと大満足の声を上げるが、横溝警部はそれを二十分も独占されたことに内心で怒りを覚える。
浴衣の連想:
- 温泉の浴衣を身にまとった大江忍は、その姿を見ていると高校三年生の時に千速と一緒に足を運んだ地元の花火大会の思い出が鮮明に蘇ってくると呟く。
レンタルの動向:
- 千速もその言葉に反応し、女子高生時代に一生に一回くらいは浴衣を着ておこうと考えて、レンタル衣装を利用して花火大会に赴いた当時の思い出を振り返る。
射的の執着:
- 大江忍は、千速が花火大会の前に夜店に出店していた射的屋の前にずーっと居座って粘り続け、ゲームを何度も繰り返していた可愛い執着心を暴露する。
9. 高校時代の花火大会と射的屋での陳平・研二との賑やかな回想
大江忍の言葉をきっかけに、千速の脳裏に高校時代の弟たちとの騒がしい思い出が蘇る。 景品への執着:
- 千速は、射的屋の景品の一等にあった綺麗な指輪がどうしても欲しかったため、三十分以上も挑戦を続けて諦めかけていた当時の状況を説明する。
弟の冷やかし:
- そこへ偶然通りかかった弟の萩原研二から、姉ちゃんはこういう射的のようなゲームの才能が最初からからきしだからねとからかわれた場面を思い出す。
陳平の宣言:
- 同級生であった松田陣平が、仕様が無いから俺があの指輪を代わりに取ってやると豪言し、その代わりに当たったら千速は俺の嫁になれと大胆なプロポーズを突きつける。
漫画の現実:
- しかし松田陣平が放った弾も全く景品に命中せず、クソッと悔しがりながらゴルゴ13のようにはいかないと呟く彼に対し、研二はあれは漫画の世界の話だと突っ込みを入れる。
10. 忍の射的の才能と指輪の行方を巡る蘭たちの推測
回想の中で大江忍が見せた驚異的な射的の腕前と、現在の脱衣所での騒動が交錯する。 意外な結末:
- 射的に失敗して悔しがる松田陣平たちの横から、大江忍が銃を貸してと言って次に自分が挑戦してみることを申し出た当時の出来事を語る。
過去の約束:
- 大江忍は見事に一発で一等の指輪を撃ち落とし、研二に本物のゴルゴがいたと驚かれ、忍は千速は私の嫁だから誰にもあげないと宣言して指輪を千速にプレゼントする。
現在の模索:
- 現在の休憩室に戻り、思い出を振り返ってニヤニヤしていた千速は、忍から貰ったその大切な思い出の指輪を一体どこに仕舞い込んだかを考えていたと明かす。
騒動の共有:
- 蘭はお風呂場の脱衣所で結婚指輪がなくなったと大騒ぎして揉めていた女性たちの様子を思い出し、千速は手分けして探しているなら既に見つかったかもしれないと推測する。
11. 濡れたスリッパの市来民絵と西栄来海の凄惨な遺体発見
指輪の捜索が続く中、客室に戻った市来民絵によって最悪の悲劇が発見される。 異変の目撃:
- 大江忍が、廊下の向こうから走ってくる女性が指輪を探しに行った一人ではないかと指を差し、千速も確かに彼女であると認める。
仲間の呼びかけ:
- 走ってきた市来民絵は、部屋の前に到着すると、来海、民絵よと大声で叫びながら、指輪はトイレには無かったという事実を報告しようとする。
足元の違和感:
- その姿を近くで見ていたコナンと蘭、そして横溝警部は、市来民絵が履いている館内用のスリッパがなぜか異常に水で濡れている奇妙な事実に目を留める。
疑問の発生:
- 横溝警部は、ただトイレに指輪を探しに行っただけで、どうしてあそこまで足元やスリッパがびしょびしょに濡れてしまうのかと強い不審感を抱き、小五郎も不思議そうにする。
悲鳴の轟音:
- 市来民絵が部屋の扉を開けて中に入った直後、客室の奥から館内全体に響き渡るような凄まじい悲鳴が廊下にまで聞こえてくる。
12. 殺人現場の痕跡調査と容疑者たちの所在確認
温泉旅館の一室が殺人現場と化し、コナンや横溝警部たちは直ちに犯人の痕跡の捜査を開始する。 現場の惨状:
- 小五郎や横溝警部たちが大慌てで部屋の内部へと駆け込むと、そこには首を鋭利な刃物で深く斬られ、激しく鮮血を流して息絶えている西栄来海の遺体がある。
通報の指示:
- 小五郎が即座に警察と救急車へ連絡を入れるよう叫ぶが、横溝警部はアンタに言われなくても分かっていると返し、千速は被害者の状態を見て救急車はもう必要ないと判断する。
血液の痕跡:
- 横溝警部は床に大量に飛び散った返り血の中に、血の跡が丸く途切れている不自然な空白の部分を発見し、小五郎はこれが犯人の履いていた靴の跡ではないかと推測する。
スリッパの指摘:
- コナンは床に残された館内用スリッパを見て、おそらく犯人はこのスリッパを履いた状態でその女性を殺害したのではないかと冷静に指摘する。
衣服の疑問:
- 蘭が犯人は相当な返り血を浴びているはずだと怯える中、コナンは市来民絵に対し、ところでお姉さんはどうしてそこまで全身が濡れているのかと鋭い質問を投げかける。
容疑者の動向:
- 民絵がこれはさっきトイレで濡れただけと言い訳をする中、千速はその理由は後でじっくり聞こうと制し、指輪を探しに出た残りの二人である渋川嶺子と十条純夏の居場所を確認する。
まとめ
第1154話「指輪と温泉」は、楽しい箱根への温泉旅行が一瞬にして血に染まる凄惨な密室殺人事件へと変貌する衝撃的な展開を描く。 事件の構図:
- 被害者の西栄来海は、オリンピック候補の夫を持つ玉の輿婚を理由に、高校時代の卓球部の友人たちから強い嫉妬の目を向けられている。
物証の提示:
- 消失した結婚指輪の捜索中に発生した殺害現場には、犯人のものと見られる丸く途切れた返り血の痕跡や、濡れた館内用スリッパが残されている。
容疑者の動向:
- トイレを探していたと主張する市来民絵は、足元や衣服が異常に濡れており、コナンや警察関係者から最初の疑いの目を向けられることになる。
過去の交錯:
- 千速たちの回想に登場した松田陣平や萩原研二の指輪のエピソードが、現在の指輪紛失事件という悲劇的な状況と見事な対比をなしている。
捜査の開始:
- 横溝警部や千速、 そして小五郎とコナンの探偵陣が揃ったことで、別棟にいる渋川嶺子や十条純夏も含めた本格的な容疑者への追及が始まる。
『名探偵コナン』コミックス一覧
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